戦前のミニSL、解体依頼から一転購入 姫路で保存
2021/05/31 05:30
マキウラ鋼業本社前に保存されている機関車=姫路市飾磨区英賀
戦前の日本で製造され、かつて台湾で活躍した小型の蒸気機関車(SL)が、兵庫県姫路市飾磨区英賀のリサイクル業「マキウラ鋼業」の本社前に保存されている。現役を退いた後は各地を転々とし、一時は解体の危機も経験した。今年2月から現在の場所へ移され、親子連れや愛好家らが集うように。同社も「地域に喜んでもらうため、これからも展示を続けたい」とする。
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同社などによると、SLは1936(昭和11)年、現在の日本車両製造(名古屋市)で造られた。全長約6・5メートルと小ぶりだが、車体に当時の製糖業者のマークがあることから、台湾中部のサトウキビ畑で活躍していたとみられる。
引退後の80年に日本へ。同県明石市内で展示された後、88年ごろに同県高砂市の不動産会社が購入し、子会社が運営するレストランの敷地内に置いていた。しかし、店が約5年前に閉店。マキウラ鋼業に解体依頼が寄せられたのが、保存のきっかけになった。
同社は「スクラップにするのはもったいない」と、当初の予定から一転、購入を決めた。飾磨区中島にある工場に置いたが、より多くの人に見てもらおうと、今年、国道250号沿いの本社前に移動させた。担当者も「よくぞ残ってくれたという思い。車両の歴史的価値を多くの人に知ってほしい」と話す。
見学や撮影は自由。マキウラ鋼業TEL079・234・5111
(山本 晃)