世界に一つ、自作の革製品 「日本一の革どころ」で、記者がレザークラフトに挑戦

2022/05/18 11:48

広々とした工房には素材や工具、ミシンなどが並ぶ=姫路市花田町高木

 「日本一の革どころ」兵庫県の播磨・姫路地域で働く者として、何としても欲しいものがあった。それは“自作”の革製品。とはいえ、手芸や工作などものづくりの経験があるわけでもなし、知り合いの製革業者がいるわけもなし、そもそも習うにも道具をそろえるだけで相当な費用がかかりそう-。そんな壁の前で悩める記者に救いの手が差し出された。イタリア語で「革製品」を意味する複合施設「ペレテリア」(姫路市花田町高木)。スタイリッシュな外観の建屋に導かれ、人生初のレザークラフトに挑戦した。(大山伸一郎) 関連ニュース 山里の味、ハチミツ採取中 宍粟市の養蜂家・田中さん 自然な香りにこだわり 海開き前に安全祈願祭 赤穂・伊和都比売神社 市内で2カ所、17日にオープン トウモロコシの甘いソースでかき氷 お好みでしょうゆスプレー 夢前のカフェ 糖度はブドウ並み


 ペレテリアは昨年7月、レザーケア商品などを扱うユニタスファーイーストが開設した姫路の皮革発信拠点で、革をなめす「タンナー」が集まる同地区中心部にある。2階建ての1階にはエントランスにカフェが併設され、2階は播磨の製革業の歴史を伝える資料展示やレンタル工房がある。
 さて、肝心の革製品製作体験は、外光を取り込んで明るい1階工房が舞台だ。ワークショップの内容は、1セッション(3時間)で完成するものから7セッションかかるものまであり、裁断された革で製作する「キット」と、型紙を作って裁断から縫製まで行う「アカデミー」に分かれる。迷わず初心者向け「キット」の中から、スマートフォン用ポシェットを選んだ。
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 まずは素材選び=【1】。8種類の模様に型押しされた白革から選ぶ。 ★以下、画像の手順を参照
 次に着色。青、赤、黄色の三原色の派手な組み合わせは見栄えの良さを狙ってみた。講師のアドバイス通り、布を軽く押し当てながらこするように塗っていく=【2】。
 そして裁断。抜き型を乗せて押し切る=【3】=が、力を入れすぎると型が抜けない羽目に。要注意!
 さらに切断面の着色は地味に必須。特殊なローラーペンを転がすようにして塗り=【4】、乾かす。
 続いてのり付け。皮革用接着剤は適量をムラなく、はみ出さずに広げ=【5】、少し乾いてからローラーやペンチでしっかりと押さえつける=【6】。
 いよいよミシン縫い。選んだ赤い糸は通してもらったが、足踏み式で全く自信がない! それでも切れ端を使って試し縫いをし、縫い進める=【7】。ペダルの感覚がつかめればさほど難しくはない印象。そう、急ぐ必要はないのだ。縫い終わり、切った糸の端を火であぶって止める。
 糸通し部分の金具「ハトメ」を穴にはめ、ネックストラップを通せば完成=【8】。2時間ちょっとで「世界に一つだけの」マイポシェットが手に入った。
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 人生初の革製品作りは材料費、施設使用料、講師料などで計4800円。縫い目や触感、使い勝手など出来栄えには大満足だったのだが、完成品を首から下げて気づいたことが…。アラフィフの我が身に三原色は派手すぎた。次回は身の丈に合った色合いの作品作りに挑戦してみるとするか。
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■コインケース、財布、バッグ… メニュー豊富30種以上
 ペレテリアでは、本格的な革製品を作る完全予約制のワークショップとして、コインケースやキーホルダー、財布、バッグなど30種類以上のメニューから選べる。模様を選んで白革に着色するだけの「ポンペレバンビ」は子どもでも楽しめる。
 技術指導を担当するのは2人の皮革職人。「自分用に作る分には、失敗も逆に思い出に残って愛着が湧きますよ」と話す新井満明さん(52)は、手縫い作品作りを指導する。一方、ミシン作品担当の斎藤翔吾さん(33)は「実用品は力がかかるところを意識して作ることが重要。細かいコツがあるので、じっくり作っていけば必ず完成しますよ」とアドバイス。
 同施設では「サブスク会員」も募集中。月額会費1万1千円で、工房内の工具やミシン、仕上げ材などが時間無制限で使用でき、講師のサポートやカフェでの割引も受けられる。
 午前10時~午後6時。日曜定休。ペレテリアTEL079・221・5115

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