駅前や街角の「白ポスト」長年の役割終える?背景にデジタル化の波、撤去も検討へ 姫路
2022/06/25 05:30
JR香呂駅にある白ポスト。投入口がふさがれたままになっている=姫路市香寺町香呂
青少年に悪影響があるとされる成人向け図書やDVDを回収するため、兵庫県姫路市が設置している「白ポスト」が、今年1月末から封鎖されたままになっている。新型コロナ禍やインターネットの普及で回収量が減っていることに加え、業者とみられる大量投棄の増加が主な要因。封鎖から間もなく5カ月となり、周辺の影響も確認されておらず、市は一定の役割を果たしたとの考えから撤去も含め検討している。(山本 晃)
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白ポストは同県尼崎市が約50年前に始め、全国に広がった。姫路市内には現在、主要駅の前や夢前町内の計12カ所にポストがあり、地域住民らでつくる市少年補導委員会が月に1~2回、ポストを開けて回収し、市が廃棄している。
成人向け作品のデジタル化や自動販売機の減少、多くのコンビニで成人向け雑誌の販売が取りやめられたこともあり、回収量は減少傾向が続く。市によると、近年は年間で有害図書が500冊前後、ビデオやDVDが1500枚程度で推移。特にDVDの減少が顕著という。
しかし、2019年ごろから、成人向けDVDが一度に大量投入されるケースが増え始めた。市総合教育センター育成支援課の半田淳士さんは「一般家庭が所有する数にしては不自然で、処分に困った業者が捨てているのではないか」と推察する。通常は多くて数十枚という姫路駅前のポストでは、一度に250枚も回収された例があった。
半田さんは「成人向けDVDが減ること自体は望ましいが、保護者らを想定した本来の利用とは異なる」と頭を抱える。状況は改善せず、協議の上、今年1月下旬からポストの投入口をふさぎ、使用できないようにした。
封鎖から4カ月以上が過ぎ、市はポストの撤去に向けた検討も始めた。補導委員として回収作業に携わっている後藤一郎さん(73)=同市=は「長年にわたり利用してもらったが、一定の役目を果たしたのでは」と受け止める。半田さんも「コロナ禍でオンライン上のやりとりが増え、子どもたちと直接会う機会が減るなど補導の考え方を一から変える必要がある。その一環で白ポストの在り方も考えていかなくてはならない」と話している。