• 印刷
式典に出席し、グループごとに記念撮影する新成人。会話が盛り上がるのは、久しぶりの対面だからこそ?=2022年1月、加古川市内
拡大
式典に出席し、グループごとに記念撮影する新成人。会話が盛り上がるのは、久しぶりの対面だからこそ?=2022年1月、加古川市内
成人式の対象年齢を18歳に引き下げる三重県伊賀市の資料。来年の式典は3区分で実施する予定だ
拡大
成人式の対象年齢を18歳に引き下げる三重県伊賀市の資料。来年の式典は3区分で実施する予定だ

 4月1日の改正民法の施行で成人年齢が18歳に引き下げられた後も、兵庫県内の全41市町は従来の20歳を基準に「成人式」を開催する見通しとなっている。対象を18歳とすると、大学受験の日程と重なる弊害が大きいためだ。地元を離れた若者の「同窓会」としての役割が失われるとして、20歳にこだわる自治体もある。各地の現状を探った。

(大橋凜太郎、小川 晶)

 兵庫県青少年課が県内の各自治体に対し、民法改正後の「成人式」の対象年齢を調査。2020年12月時点で「20歳」と答えたのは14市町で、他は「検討中」「未定」などだったが、21年12月には全41市町が「20歳」でそろった。

 神戸市は「18歳だと大学受験があり、20歳の方が落ち着いて出席できる」という若者の意見などを参考に方針を決めたという。一方で、式典の名称については「成人お祝いの会」から改める方向で調整。市こども青少年課によると、民法改正によって「新成人を祝う」という式典の趣旨がそぐわなくなるためで、今年4月末にも新しい名前を固める予定だ。

 洲本市も、21年度の式典実行委員にアンケートをしたところ、18歳を対象とすることに8割以上が否定的だったといい、20歳で維持する方針を決めた。市生涯学習課によると、受験期の繁忙のほか、振り袖の準備には年単位で時間がかかり、対象年齢を急に変えると混乱するといった配慮も踏まえたという。

 担当者は「大人になったことを自覚し、お世話になった人に感謝するのが成人式。受験で忙しい18歳では、そこまで考えが及ばないと思う」と話す。

 これまで、1月3~4日に成人式を開いてきた佐用町。高校まで地元で過ごし、大学進学や就職を機に離れる若者が多く、正月と成人の日の2回にわたって帰省する負担を軽減するためだ。

 成人年齢の引き下げに合わせて18歳対象とすれば、地元にいる間に出席できることになり、その負担もなくなる。だが、町総務課の担当者は「いつもの顔ぶれと会うだけでは、式を開く意味合いが薄れてしまう」と否定的だ。

 重視するのは「久しぶりに再会した」という感覚。若者の流出が止まらない町にとって、式典は単なる節目のイベントではなく、旧交を温めつつ、佐用の良いところを認識してもらうための大切な行事なのだという。

■「18歳」は少数派 

 成人式の取り扱いについて、全国の自治体では「20歳を祝うつどい」などと改称して、対象年齢を維持する流れが広がっている。

 「18歳に引き下げたのは、うちを含め、全国で3例程度だと聞いています」。担当者がそう明かすのは、21年1月に出席者の年齢を変える方針を決めた三重県伊賀市だ。いきなり18歳に下げると、2年分の空白が生じるため、23年のみ20歳、19歳、18歳の3区分で実施し、24年以降は18歳で固定するという。

 市生涯学習課の担当者は「現在の成人式は、民法の規定が基準となっている。根拠法が改正されたのだから、その内容に合わせるべきと考えた」と理由を説明。大人としての意識を持ってもらいたいという社会教育の面も重視したとする。

もっと見る
 

天気(9月10日)

  • 32℃
  • ---℃
  • 50%

  • 30℃
  • ---℃
  • 70%

  • 34℃
  • ---℃
  • 50%

  • 35℃
  • ---℃
  • 60%

お知らせ