期限迫った食材、市が仲介します 1年3カ月で8・4トン成果 姫路発、食品ロス削減の輪 全国に拡大

2022/07/06 05:30

在庫商品を小分けにして販売する「おのえ」。業者にも消費者にもメリットがあるという=姫路市龍野町1

 飲食店で余った食材や消費・賞味期限の迫った商品の売買を仲介しようと、兵庫県姫路市が昨年3月に国内の自治体で初めて導入したサービスが、全国に広がりつつある。姫路では、運用開始からの1年3カ月で8・4トンの食品ロス削減につながるなど一定の成果があった。今年4月までに甲府市や三重県桑名市など6市が運用を始め、利用登録者は全国で約1万9千人に上る。(田中宏樹) 関連ニュース 【写真】姫路市が全国で初めて導入したサービスの画面 食品ロス削減へ、自販機が一役 賞味期限迫った商品、定価の6割 賞味期限近い品、安価で販売 食品ロス減の店「ここに来れば面白い物ある」


 サービスは、姫路市が京都府のシステム会社と共同で開発した「売ってコ 買ってコ」。協力する事業者は規格を外れて販売できない青果や売れ残った商品などを専用サイトに掲載する。利用者はサイト内で購入予約をし、直接店舗を訪れて商品を受け取る。
 姫路市によると、市内の家庭から出される廃棄食品は推計で約3200トン(2017年度)。スーパーや飲食店からの排出量を示すデータはないが、仲介サービスはこれらのロス削減を目指して始めた。
 取り組みは市内で徐々に浸透し、参加店舗はスタート直後の9事業者から38事業者に増加。市民ら約6400人が利用登録し、これまで約6400点がサイト内で売買された。
 サービス開始当初から参加する食品卸売業「おのえ」(姫路市龍野町1)は、大量に仕入れて余剰となった商品などを安価で販売する。尾上義夫社長(45)は「売り切れなかった商品を安く市民に届けられ、業者と消費者の双方にメリットがある。廃棄の削減にもつながっている」と話す。
 昨年10月には長崎県佐世保市が取り組みを始め、今年4月までに姫路を含め全国7市が導入。姫路市リサイクル課の大塚晶弘さん(49)は「食品事業で廃棄はどうしても避けられない。でも、地域全体で少しでもその量が減るように、周辺市町にも取り組みが広がってほしい」と話した。
 市民の利用登録はサイト内でできる。市リサイクル課TEL079・221・2406

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ