革の聖地・姫路に新ブランド「TAANNERR」 設立111年の業界最大手、山陽が設立
2022/11/09 05:30
タァンネリルのバッグを手にアピールする戸田健一社長=山陽
タンナー(製革業者)業界最大手の山陽(兵庫県姫路市東郷町、資本金1億円)が、消費者向けに革製品の自社ブランド「TAANNERR(タァンネリル)」を立ち上げた。設立111年を機にした初の試みで、高級路線を目指す。第1弾としてバッグなど7種類を商品化。日本を代表する革産地・姫路の老舗企業が素材から最終製品まで手がけることで、消費者に「革の聖地」として広くアピールする狙いもある。(段 貴則)
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同社は1905(明治38)年、姫路製革所として創業。11年に山陽皮革を設立し株式会社化した。同社をはじめ、多くのタンナーが集積する姫路の革は、世界で高い評価を受け、多くの製品に使われている。ただ、消費者に素材の産地として発信できる機会が少ないため、同社が自社ブランド製品づくりに乗り出した。
若手社員を中心にデザインを学ぶなど、2年がかりで準備を進め、111年の節目となる先月6日、ブランドを設立。名称は「TANNER(タンナー)」をベースに文字を重ね「歴史ある過去から未来へ続いていく」との思いを込めた。
第1弾商品には、世界的にも希少という昔からの手法で生産した「ヌメ革」を採用。1カ月近く時間をかけてなめすことで、形崩れしにくく、しっかりとした革に仕上がり、経年変化も楽しめる。戸田健一社長は「100年以上、革づくりに向き合ってきた企業だからこそ、知り尽くした革の良さを商品に最大限に生かしたい。消費サイクルの短期化や大量廃棄が問題になる中、持続可能性を意識した商品づくりを進め、本当に革好きの人に長く使ってもらえれば」と話す。
商品は、内装もこだわったバッグ(16万8千円)など、高価格帯で勝負する。専用ホームページを通じて販売するほか、海外展開も目指している。
戸田社長は「世界に通用するブランドとして育てる一方、姫路の観光資源、魅力の一つに加えられたら。海外客を含め、多くの観光客が訪れる姫路城の近くに、数年後には販売店舗を構えたい」と話し、地域活性化にもつなげる考えだ。