歴史振興に貢献、小野の男性が文化庁「地域文化功労者」に

2021/01/17 05:30

自身が整備に関わった堀井城跡ふれあい公園で受賞の喜びを語る坂田大爾さん=小野市河合西町

 文化庁が表彰する「地域文化功労者」に、兵庫県小野市の地域史研究団体「小野の歴史を知る会」の坂田大爾(だいに)会長(82)が選ばれた。1973年の市文化財保護委員への就任以来、地元の中世史の研究に取り組み、文化財指定や歴史ガイド組織化に貢献したことが評価された。坂田さんは「まさか受賞するとは。今後も大好きな郷土史に関わり続けたい」と笑顔を見せる。(杉山雅崇) 関連ニュース 伐採木を家庭でも イベント中止で販売へ 三木山森林公園 クラスター病院で新たな感染 計202人に 東加古川病院 感染者専用病棟に勤務の看護師が感染 明石市立市民病院

 坂田さんは61年に明治大学を卒業した後、会社員を経て実家の書店を継いだ。以後、中世期の仏像や歴史に興味があったことから、中世期の小野にあった東大寺の荘園「大部荘(おおべのしょう)」や浄土寺(浄谷町)、小野に拠点を持っていた赤松氏などに関連した研究に取り組んだ。
 独学で古文書の読み方を学び、地元や東大寺に残された史料を解読。書き上げた論文は30以上に及ぶ。歴史雑誌が主催する論文コンクールで、特賞に輝いたこともあった。
 郷土史家としての坂田さんの評判は広がり、同市の文化財保護委員長にも就任。国史跡の広渡廃寺跡歴史公園(広渡町)や堀井城跡ふれあい公園(河合西町)などの整備に尽力した。
 現在は、市観光協会の観光ガイドボランティア会長も務める。特に、浄土寺の案内には力を入れる。「仏師快慶による阿弥陀三尊像はもちろん、細かな部分も作り込まれた浄土堂と、自然光の調和は素晴らしい」と、目を輝かせてその魅力を語る。
 郷土史以外にも、幅広い時代や地域に目を注ぐ。今熱中しているのは、ナチス・ドイツ時代に派遣された日本の駐独大使や、周辺の軍人たちだ。
 坂田さんは「今、アマチュアの歴史研究家は少なくなっている。私も高齢になったが、興味が尽きるまでは研究を続けたい」と語っていた。

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