「飛沫感染」に絞った対策を SARSに対処、関西福祉大・勝田教授に聞く

2020/01/25 07:00

関西福祉大・勝田吉彰教授

 新型コロナウイルスによる肺炎の特徴や現状、兵庫県内で気を付けるべきポイントは何か。外務省医務官として重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)に対処した経験を持つ、関西福祉大(赤穂市)の勝田吉彰教授に聞いた。 関連ニュース 姫路で20人感染 姫路中央病院でクラスター発生 尼崎で新たに6人感染 10歳未満から50代の男女 西宮で新たに4人感染 20~90代の男女

 -今回の新型コロナウイルスによる肺炎の特徴は。
 「1人の患者が平均何人にうつすかを示す『基本再生産数』という指標で、SARSやインフルエンザは2~3人。はしかは12~15人。ウイルスの特徴から、今回の肺炎の感染力は前者と同程度と考えられる。致死率はSARSが1割、中東呼吸器症候群(MERS)が3割程度。現時点でSARSほどではなく、変異しても感染力は高まるかもしれないが、致死率が上がることはないとみられる」
 -SARSの時と比べ、中国の対応に違いはあるか。
 「中国で情報が出てくるのが、SARSと比べて今回はかなり早かった。それを基に世界中の研究機関が分析できた。政治的にも科学的にもSARSの時の経験が生きていると思う」
 -兵庫県内の市民や医療機関が気を付けるべきポイントは。
 「今回の肺炎は、飛沫(ひまつ)感染でうつるため、そこに焦点を絞った感染対策、つまりインフルエンザと同様のせきエチケットや手洗いなどを推進してほしい。各医療機関では、いざ疑わしい患者が出た際にどう動くか、組織ごとのすり合わせやシミュレーションをしておくべきだ」
 -今後注目すべき点は。
 「1人の感染者がより多くの人に感染させる『スーパースプレッダー』が現れるか。これがあると、社会の雰囲気ががらりと変わり、心理的な不安や恐怖が拡大する可能性がある。常に信頼できる情報を取得するようにし、正しい知識で対応することが重要だ」(聞き手・吹田 仲)

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