「助けて」の声に懐中電灯で“捜索” 海転落の男性、釣り人3人が救助

2021/02/17 05:30

のじぎく賞を受け取る(左から)出口祥章さん、名東剛さん、下山晃平さん=垂水署

 垂水漁港(神戸市垂水区平磯3)付近の岸壁から海に誤って転落した60代男性を救助したとして、兵庫県警垂水署は男性3人に同県の善行賞「のじぎく賞」を贈った。 関連ニュース 深夜、橋の欄干に手をかけ立つ女性 「寒いですね」「色々ありましたね」小学校教師が声をかけ救う 「心肺蘇生法、分かるのでやります」 中3男子が意識不明男性の命救う 「さすがに焦った」循環器内科の医師、電車内で人命救助

 会社員出口祥章さん(46)=同県三田市=と、釣り仲間の自営業名東剛さん(36)=同県西宮市、会社員下山晃平さん(31)=同市。
 出口さんは1月25日午後11時ごろ、岸壁で「助けてくれ」という声を耳にして懐中電灯で照らし、係留ロープに絡まっている男性を見つけた。船に飛び移るも一人では引き上げられず、「人を呼んできます。耐えられますか」と言い残し、近くの交番へ急行した。
 その直後、通りかかった名東さんと下山さんが男性に気付き、名東さんは船に向かい、下山さんは119番。駆け付けた警察官と協力し、救出した。「大丈夫ですか」と声を掛けると、かぼそい声で「大丈夫」と返事があったという。
 贈呈式で初めて出口さんの行動を知った名東さんは「警察官が来るのがえらい早いな、と驚いた」と振り返り、「やっぱり釣り人はええ人ばっかりや」と顔をほころばせた。
 名東さんは阪神・淡路大震災で自宅が全壊し、生き埋めになった。ボランティアに助けられたことから、「困っている人がいたら、助けなあかんと日ごろから思っていた」という。出口さんは「無我夢中だったが助かってよかった」と喜び、下山さんも「連携して行動に移せた」と誇らしげに話した。(小谷千穂)

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ