道路のない向きになぜ信号が? 20年来の謎、やっと解けた

2021/06/16 05:30

道路のない南向きに設置された信号機がある三差路=神戸市長田区宮丘町1付近 

 「20年以上前から疑問に思っている信号機がある」-。神戸市長田区の女性(55)が、神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に投稿をくれた。信号機があるのは同区宮丘町1付近の三差路で、道路がない南に向かって設置されている。歩行者用信号も赤青黄と3色ある珍しいタイプ。「信号機って税金ですよね? 無駄遣いなのでは」。女性の疑問に、取材を開始した。(名倉あかり) 関連ニュース 【地図】多数の信号機がある三差路 兵庫・神戸の中心部に「バスの信号無視が多い」交差点 観察して分かった構造的課題 直進できるのに、路面標示は「右折のみ」 県警、いつからミスか不明 誤って違反切符も

 現場は、東西に走る片側1車線の市道から北側の住宅街へ向かって1本道が伸びている三差路。南向きの信号機の先には車道-ではなく、白い柵で守られた歩道がある。もちろん、車は通行できない。
 30年ほど前、近所に引っ越してきた女性は「いつか南側に道ができるのかも」と思っていたが、その気配はない。「小さな交差点に信号機がたくさんあって『何でだろう』とモヤモヤしていた」と言う。
 そのモヤモヤを解消するため、長田署交通課へ聞いてみると、担当者から「自転車の二段階右折用の信号です」との返答があった。
 自転車は自転車横断帯がない時、降りるか歩行者の妨げにならない場合は横断歩道を通行できるが、原則として車道を二段階右折しなければならない。道路交通法第34条にも定められているが、周知が徹底できていないのが現状という。
 また、3色の歩行者用信号は、横断歩道が数メートルと短いため、より多くの歩行者が渡れるよう、赤青だけでなく中間の黄色をもうけているという。
 一見すると違和感のある三差路だが、理由が分かれば納得。本紙には5年前にも読者から兵庫県明石市内の同様の信号機について情報が寄せられていた。同課の担当者は「自転車も車両の一つなので、交通ルールを守って安全に通行してほしい」と呼び掛けた。
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