病院食堂にビーガン料理登場、反響広がる 低カロリー、低脂質で環境にも配慮

2021/10/16 05:30

食堂で提供する「大豆ミートの黒酢豚」=神戸市中央区籠池通4、神戸労災病院

 神戸労災病院(神戸市中央区籠池通4)の食堂に7月から、動物性食品を食べない「ビーガン(完全菜食主義者)」対応の料理が登場した。全国に32カ所ある労災病院の中でも真っ先に導入。約3カ月たち、ヘルシーさを求めて注文したり、メニューから環境問題に関心を持ったりと、ビーガン以外の利用者にも反響が広がっているという。(小野萌海) 関連ニュース 「低糖質=おいしくない」イメージを打破 ドーナツやワッフル 加西の丸中製菓 「からあげ定食」破格の380円 名物食堂が閉店 学生や常連に愛されて33年 「ビーガン」向け世界一簡単にできるレシピ本 神戸の起業家

 ビーガンは、動物愛護や環境保護などの観点から、肉や魚、卵、牛乳などの動物性食品を食べない。低カロリーや低脂質も、ビーガン料理の特徴だ。
 同食堂店長の白石秀子さん(44)は、食事制限やカロリー制限などが必要な患者向けのメニューを模索する一方で、以前から環境問題にも興味があったという。知人から、総菜宅配事業などを手掛ける会社「ブイクック」(中央区)を紹介され、ビーガン料理を知った。
 低カロリーで環境に配慮された一石二鳥のメニューだと確信し、7月12日から、大豆でできた代替肉を使った「黒酢豚」と「生姜(しょうが)焼き」の2種類をブイクックから仕入れた。無添加で、ご飯やみそ汁、サラダなどが付いて酢豚が473キロカロリー、生姜焼きが302キロカロリー。食堂の入り口には、動物性食品が環境に与える影響を説明する看板も掲げた。7月の注文は20食ほどだったが、翌8月には3倍の60食に増えた。
 食堂は外来の患者や病院職員のほか、近隣住民なども利用できる。ビーガン料理を注文するのは糖尿病患者が9割を占めるが、食と環境問題のつながりやビーガンについて関心を深める人も多いという。
 白石さんは「(病気などで)健康面から注文する人が多いが、ビーガンに興味がある人にも食べに来てもらいたい。環境に優しい食堂を目指す」と話す。午前10時~午後3時(土日祝は休み)。定食千円、単品持ち帰りは650円。

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