神話との関係や起源…古代五輪の研究続け40年 神戸の医師が自費出版

2021/11/13 05:30

古代オリンピックについて詳しく解説した本を出版した賀来正俊さん=神戸市東灘区

 古代オリンピックについて研究してきた神戸市東灘区の医師賀来(かく)正俊さん(70)が著書「古代オリンピックの真意と全貌=人類の精神と叡智(えいち)=」を自費出版した。全カラー350ページに写真や図を多く取り入れ、専門家でなくても興味深く読める内容となっている。(安福直剛) 関連ニュース 新型コロナ 兵庫で新たに7人感染 イニエスタ「終盤戦で良いコンディション」 ヴィッセル神戸が練習公開 世界糖尿病デー前に神戸の名所ライトアップ 病抱えるサンペール「限界自らつくらないで」


 陸上の短距離選手だった学生時代、本で見た古代ギリシャ彫刻の筋肉美に引かれ、興味を持った。本格的に研究を始めたのは30歳のころ。国内では資料が足りず、ギリシャを訪ねて博物館で大量の本を解読するとともに、オリンピアの古代遺跡に何度も足を運んだ。気候や地形などに加え、近くの川の成分を分析したり、疲労やけがの回復方法を調べたりもした。
 40年間、研究を突き動かしたのは、オリンピックの背景にある平和への希求だ。古代ギリシャは紛争が絶えなかったが、開催中は休戦協定を締結。紀元前8世紀から紀元後4世紀にかけ、4年ごとに地中海周辺の国や地域から参加して開かれ、一度も中止されなかったという。
 本の内容は多岐にわたる。古代オリンピックの組織や選手選考の過程、開催地での行事や表彰式、競技種目の変遷といった基本項目はもちろん、ギリシャ神話との関わりや男性のみが全裸で参加した理由、古代オリンピックがなぜ始まり、なぜ終わったのかなども詳細に記している。
 賀来さんは「今も昔も平和を望む人の心は変わらない。一度も中止されずに開かれた古代オリンピックから何かヒントを得てもらえれば」と話している。
 送料込み8千円。購入希望は賀来医院(TEL078・411・4168)へ。

【日本オリンピック・アカデミーの望月敏夫会長の話】古代オリンピックに関してはさまざまな研究があるが、専門家向けの書物が大半。今回の本は写真や図を多用して誰もが分かりやすく読め、現地の雰囲気もよく伝わってくる。平和や平等といった近代五輪の思想の礎を知る上で大変貴重であり、「オリンピック精神」への理解を深める一冊だ。

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