遊びに、文化に、食に充実 神戸の臨海部、ウオーターフロントエリアで進む再開発
2022/01/01 05:30
完成した複合施設「神戸ポートミュージアム」=神戸市中央区新港町
神戸市の都心・ウオーターフロントエリアの再開発が進んでいる。2022年は多目的アリーナの設計手続きに入るほか、神戸ポートタワーの改修工事が本格化する。突堤間の水域では、水上レストランやマリーナの開設に向けた検討も始まった。遊びや文化、食を楽しむにぎわいの街へ-。変わりつつある臨海部の現状と今後を紹介する。(三島大一郎)
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市が将来構想を描いた指針「港都神戸 グランドデザイン」を発表したのは2011年。4年後、第1弾として、第1突堤(1突)に宿泊施設「神戸みなと温泉 蓮(れん)」が整備された。
1突基部(付け根)には昨年1月、通販大手フェリシモが本社を移転。同4月には自動車販売「GLION(ジーライオン)グループ」が本社ビルを開業した。同10月末には、劇場型アクアリウム「アトア」が入る複合施設「神戸ポートミュージアム」もオープン。周辺では新たな人の流れが生まれている。
1突東側の第2突堤(2突)では、1万人収容のアリーナが24年度に完成予定で、今年は具体的な設計の手続きが進められる。2突基部に残る倉庫は、解体に向けて建物の調査が始まる予定。ホテルや商業施設など集客施設の配置を想定しており、担当者は「周辺のにぎわいを高める施設を誘致したい」としている。
昨年末には、1突と2突間の水域約5ヘクタールの活用について検討する委員会もスタート。水上レストランやマリーナを設ける案などについて意見が交わされた。
エリアの回遊性向上のため、昨年4月から、連節バス「ポートループ」の運行も始まった。一方、久元喜造市長は、次世代型路面電車(LRT)導入の必要性を主張している。
また、市は昨年5月末、エリアのまちづくりを担う新会社「神戸ウォーターフロント開発機構」を設立。エリア全体のマネジメントを担うほか、市場分析や投資の誘発、事業化の支援などを進めるという。
■ポートタワーお色直し 港の象徴23年夏にも復活
メリケンパークにある港のシンボル「神戸ポートタワー」は、耐震性を高めるための大規模改修が進む。開業60年に当たる2023年夏ごろ、リニューアルオープンする予定だ。
この改修に合わせて、タワー頂上付近の外周を360度歩けるようにするほか、低層部4階に屋外テラスも設ける。
現在、タワーの約半分が工事用の足場で覆われている。2月にはすっぽり隠れた状態になるという。1月14日からは、足場を覆うシートに映像を投影するプロジェクションマッピングが実施されるという。
■国内最大級海上のレストラン昨年11月再開「ルミナス神戸2」
中突堤を発着し、神戸港を周遊するレストランクルーズ船「ルミナス神戸2」が昨年11月、約1年8カ月ぶりに運航を再開した。現在は、土日祝日のみ運航している。
ルミナス神戸2は1994年に就航。総トン数4778トン、全長106メートル、定員千人で、レストラン船としては国内最大級という。
ルミナス神戸2を巡っては、2020年3月、新型コロナ禍などの影響で当時の運営会社が経営破綻。運航を休止していたが、同港でクルーズ船「コンチェルト」を手掛ける神戸クルーザーが事業を引き継いだ。
同社の担当者は「運航が再開してよかった、という声を多くいただいた。港のシンボルとして、今後も動き続けたい」と話す。
また、メリケンパークの西に1992年にまちびらきした神戸ハーバーランドは、今年で30周年となる。グランドオープンした10月に向け、春ごろから記念事業などが展開される予定だ。