震災で焼失した名門ソース工場、時計に残る記憶 神戸の公園
2022/01/27 05:30
オリバーソースが設置した時計塔。この地に根ざした歴史と阪神・淡路大震災の被害の大きさを今に伝えている=神戸市兵庫区松本通3
阪神・淡路大震災から27年となった17日の午前5時46分、川池公園(神戸市兵庫区松本通3)であった追悼行事を取材中、黙とうまでの時間を計るために目をやった時計塔を二度見してしまった。「寄贈オリバーソース」って?
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「昔、この場所にオリバーソースの工場があったんよ」。行事後、住民の一人が教えてくれた。
同社によると、1923年の創業から、本社と工場をこの地に置き、「とんかつソース」などのヒット商品を生み出した。だが95年の震災で施設のほとんどが焼失。区画整理に伴い同市中央区に移転した。歴史を伝えるため、2004年に設置したのが時計塔だった。
生後半年で震災を迎えた記者は全く知らなかった。後日の午前5時46分、歴史を思いつつ時計塔に手を合わせた。(大橋凜太郎)