生まれ変わった北野の「最古級」異人館 アンティークさそのまま「コワーキングスペース」、カフェも
2022/02/02 13:30
アンティーク家具が並ぶコワーキングスペース=神戸市中央区山本通2
明治20年代に建てられた神戸・北野の最古級の異人館「旧スタデニック邸」(神戸市中央区山本通2)が1日、交流・作業スペースやガーデンカフェを備えた施設「北野メディウム邸」として生まれ変わった。起業などを考える若者や女性が集まる場を目指しており、企画した神戸市西区出身の山本宝さん(31)は、「ここから神戸の街全体を盛り上げたい」と意気込んでいる。(綱嶋葉名)
関連ニュース
財界の名士が次々邸宅 かつて神戸に「日本一の富豪村」
ベネチア国際映画祭で監督賞の黒沢清監督 「神戸でなければ成立しない作品」の理由
黒柳徹子、美輪明宏、松下幸之助…圧巻の会員リスト 市民の憧れだった本邦初の会員制喫茶店
木造2階建ての同邸は異人館通りの南側にあり、市の伝統的建造物に認定されている。玄関ポーチや窓が特徴的なコロニアル様式、庭にそびえ立つ樹齢120年以上というヤシの木などが目を引く。
山本さんは「人の話や悩みを聞き、縁をつなぐカフェをつくりたい」と思い立ち、2017年に株式会社「ROUGHLABO(ラフラボ)」を起業した。大阪で若者が気軽に意見を交わせるコワーキングカフェを立ち上げ、マーケティングや投資を学ぶイベントを開いて支持されている。
若者離れが言われる地元神戸でも若者や女性が交流を深め、魅力を発信できる場所をつくろうと、クラウドファンディングで資金を集めた。女性のテンションが上がりそうなおしゃれでかわいい北野の異人館の物件を探し、旧スタデニック邸にたどり着いた。
館内には会員制コワーキングスペースを整備した。アンティーク家具が並ぶ部屋で作業や会話ができる。さらに別のスペースには、動画を撮影・配信するスタジオと編集用の部屋も設けた。また100平方メートルほどある庭にはカフェをつくり、観光客や地域住民も楽しめる空間を目指す。
「神戸らしいファッション、アートにまつわるイベントも実現させたい」と山本さん。「コロナ禍で人のつながりが希薄になりがちだが、交流から新しい挑戦が生まれる場所になれば」と期待を寄せる。
コワーキングスペースの会員は30人限定で、利用は平日午前10時~午後11時。月額3万3千円。登録は無料通信アプリ「LINE(ライン)」で「北野メディウム邸」と検索してメッセージを送る。カフェは主に平日正午~午後6時。