身長1・8m、体重約50kg 紙でも立派な「鉄」人は、まちが1年かけ作り上げたヒーロー
2022/06/10 05:30
紙でできた鉄人28号=大黒児童館
鉄ならぬ紙でできた「鉄人28号」の模型が、神戸市須磨区大黒町2の大黒児童館に登場した。高さ約1・8メートル、重さ約50キロの立派な体格で、地元の親子や同館職員らが画用紙で作った。目が光り、頭や腕が動く力作で、来館する子どもを見守りつつ地元行事の盛り上げ役も担う。同館は「多くの人に見てもらいたい。出張もします」と活用希望の申し出を楽しみにする。(橘高 声)
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同館の設立40周年を記念して作った。新型コロナウイルス禍で記念行事が中止となる中、阪神・淡路大震災からの復興のシンボルとして新長田駅前に立つ鉄人28号のモニュメントを参考に、「コロナの逆境に負けない」と思いを込めた。
年少者も取り組みやすいよう、画用紙を素材に選んだ。折り紙名人の同館職員八木昭美(てるみ)さん(61)が高さ約30センチのミニサイズを試作し、設計図を考案。画用紙を三角に折ったパーツを接着剤で貼り合わせ、木の骨組みにかぶせて作ることにした。
同館を利用する子どもや保護者、住民に呼びかけ、総勢100人超での共同作業になった。みんなで折った三角形のパーツは1万個以上に上る。
子どもらは当初、それぞれ黙々と作業していたが、次第に協力するように。「三角形がとがってた方がきれいやん。これ折り直し」と指示したり、「ここに並べて」とリーダー役になってみんなをまとめたりする子も出てきて、役割分担が自然に浸透していった。
「引っ込み思案だと思っていた子がまとめ役になっていて職員もびっくりで。その個性を発揮する機会になったのかな」と白木理(さとる)館長(44)。「力を合わせる過程で、子どもたちの新たな一面や成長が垣間見えた」と振り返る。
まずは胴体、次に頭、足、手。1年がかりで順に組み立て、今春ようやく完成した。懐中電灯を入れた目は黄色く光り、子どもの安全を見守る。胴体は空洞で、股(また)の間から中をのぞくと紙が織りなす造形美を楽しめる。頭は一回転し、腕は微妙に前後する可動式だ。
「本当は腕ももっと動くようにしたかったけど、紙が引っ掛かって少ししか動かないんです」。白木館長は苦笑いした。
紙のヒーローは、4月上旬に近くの板宿商店街であった交通安全パレードで、催しデビュー。車輪付きの台に乗って巡回した。
白木館長は「広く愛される存在になってほしい」と願う。イベントなどへの模型の出張希望は大黒児童館TEL078・733・3451