「プロジェクトN(ながた)」では2回に分け、神戸市長田区の若松公園に立つ鉄人28号の誕生秘話に迫りました。これ以外にも制作者の思いが込められたトリビアはたくさんあります。この際、一挙に鉄人トリビアを紹介します。(井上 駿)
【其の一】右手を突き上げた雄々しいポーズ
これ、実は原作にはなく、オリジナルなんです。原案を考えた模型・造形作家の速水仁司さんによると「ファイト一発ポーズ」。震災で傷ついたまちを元気にしたいという願いを込めたそうです。ただ、このポーズで50トンの巨体を支えるため、両足の下には巨大な円柱型の基礎を打ち込む難工事となりました。
【其の弐】手首の金の玉
鉄人の手首に四つずつついている金の玉。実はこれ、主人公の金田正太郎少年が操作するリモコン(操縦器)の電波を受信するアンテナで、飾りではないんです。鉄人は、ガンダムのように内部に乗り込んで操縦するのではなく、リモコンから発せられた電波を受信して動きます。
【其の三】股間の穴
モニュメントを真下から見上げると、股間に穴が開いているのを見つけました。これは一体何でしょう。
モニュメントの内部は空洞のため、外気との温度差で結露が発生します。そのため、たまった水を排出するためのものです。おしりの穴ではありません。
【其の四】モニュメントの色
完成時と現在。よく見るとモニュメントの色が違います。完成時はブルーグレー調。現在はコバルトブルー調です。完成前、モニュメントに柵を設置する案もありましたが、「子どもが触れて遊べるように」と見送られました。子どもが触れる両足を中心に、塗装の傷みが目立ち始めたため、2016年秋に全面的に塗り直しました。その際、原作により近いコバルトブルー調になりました。
【其の五】鉄人の向き
JR神戸線に背を向け、南を向いています。これは、鉄人広場のスペースを確保するとともに、「高取山を背にすることで、前から眺める際、山のある神戸の風景を感じてもらおう」という制作者の思いがあります。完成後に始まった神戸マラソンでは、ランナーに背中しか見えないのが少し残念ではありますが…
【其の六】鉄人のコテ
本紙のこなもん徹底検証でお好み焼きを焼いたり、切り分けたりするときに使う調理用具を「テコ」と認定しましたが、JR新長田駅前にあるモニュメントは「コテ」と命名されています。これ、実は鉄人サイズ(高さ3・4メートル)なんです。知ってましたか。