御影高校“キノコ部”が環境大臣賞受賞 長年の調査研究や発信評価 部員に聞く魅力と意外な本音!?
2022/08/29 05:30
環境大臣賞の受賞を喜ぶ環境科学部の生徒たち=神戸市東灘区御影石町4
御影高校(神戸市東灘区御影石町4)の環境科学部、通称“キノコ部”をご存じだろうか。六甲山系周辺でキノコの採集・標本作製などに取り組む部活で、このほど環境大臣表彰を受賞した。長年にわたる調査研究や発信が評価されての栄誉という。そこで、キノコと日々向き合っている部員たちに魅力や活動の楽しさ、意外な本音などを聞いてみた。(綱嶋葉名)
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同部は現在6人が所属している。歴代部員は2008年頃から月に1回、神戸市北区の森林植物園や再度公園などに通い、兵庫きのこ研究会と共にキノコを採集してきた。生態の観察や千点を超える標本作製などに取り組んできた。
キノコ採集の魅力について、2年の肱岡和樹さんは「よく遊びに行く公園でも、採集のために歩くと案外キノコがあることに気づいておもしろい」と話す。部員たちは「特徴的なキノコを見つけるのも楽しみ」と口をそろえ、死に至るほどの強い毒性を持つ「ドクツルタケ」、通称“殺しの天使”を見たときは思わず「本当に白くてきれい」と眺めたという。
見た目の好みは、白くて丸い形が特徴的な「ホコリタケ」や、山伏が胸に掛けている飾りに似た「ヤマブシタケ」などかわいらしいものが人気。一方で、光る様子が幻想的な「ツキヨタケ」や、成熟すると短時間でドロドロに溶けてしまう「ササクレヒトヨタケ」を推す声もあった。
味についても尋ねると、意外な事実が発覚した。「観察するのは好きだけど食べるのは苦手で」と数人が遠慮がちに申し出た。「他の食材と調理しても負けずに主張してくる」「匂いがどうしても無理」…。実は記者もキノコが大の苦手。気持ちはよく分かる。
もちろん味を好む部員もいる。1年の森岡楓舞さんは「うまみが感じられるシイタケが一番好き」と断言。牛肉とマイタケの炒め物もお勧めという。
今回の表彰を受けて、2年の林貴陽さんは「先輩たちが積み重ねてきたことのおかげ。これで部活の歴史の一つになれたかな」と笑顔を見せた。部長の柳口葵さん(2年)は「驚いたけど、長期の活動が認められてうれしい」と話し、「キノコといえばカサがあるイメージだと思うが、本当に色んな種類がある面白さを知ってほしい」と呼びかけた。
一方、肱岡さんは「SDGs(持続可能な開発目標)っていうと難しそうだけど、小さなことでも長く続けると環境保護につながると伝えたい」と強調。今後の活動について森岡さんは「キノコの培養に挑戦して発生する場面を観察したい」と意気込んでいた。
同部は、9月4日から12月16日まで森林植物園で「六甲山のキノコ展」を開催。標本の展示や、少し変わったキノコ料理のレシピなどを紹介する。