邪馬台国は奈良で決まり! 郷土愛全開、笑い飯の哲夫さんが大胆宣言 九州説はスライド早送りで一蹴?

2022/09/08 20:20

「邪馬台国と卑弥呼の謎」と題して、全く関係のない話も交えながら軽妙に古代史を解説する笑い飯・哲夫さん=神戸市東灘区住吉東町5

 人気漫才コンビ「笑い飯」の哲夫さん(47)が7日、神戸市立東灘区文化センターで古代史講座を開いた。テーマは「邪馬台国と卑弥呼の謎」。奈良県出身で仏教関連の著作もある哲夫さんは、いまだ論争の決着を見ない邪馬台国の所在について、自身の故郷に残る伝承を交えながら「畿内説」への肩入れを公言。対抗する「九州説」のスライドを高速で早送りするなど、自由奔放な語り口で聴衆を笑わせた。 関連ニュース 平清盛が10年暮らした「お気に入りの地」 その理由が一目で分かる高台を訪ねた 1300年前、美女を人柱に築造…「入ケ池」伝説は真実? 稲美の住民ら、ひも解きに挑戦 徳川家の娘は「特別待遇」 将軍との交渉ルートも? 姫路藩に嫁いだ喜代姫 秘話ひもとく日記発見

 ■卑弥呼を背に
 笑い飯はボケとツッコみが交互に入れ替わる「ダブルボケ」のスタイルで脚光を浴び、2010年には「M-1グランプリ」で優勝した実力派。関西学院大(西宮市)OBの哲夫さんは仏教や古代史の造詣が深く、執筆や講演活動にも精を出している。
 講座は東灘区文化センターと「よしもとデベロップメンツ」が昨春に始めた「よしもと芸人と笑って学ぼう」シリーズの11回目で、この日の受講者は約40人。哲夫さんは卑弥呼のイラストをスクリーンに映し出したまま、冒頭の半時間は現代の政治、報道への私見や「おなら」の語源を語り、ようやく本題に入った。
 ■根拠も挙げつつ
 邪馬台国の記述は唯一、中国の歴史書「魏志倭人伝」にある。ただ、中国大陸から邪馬台国に至る行程があいまいに記されており、これが論争の的となっている。九州の「伊都国」(福岡県糸島市付近)からの道のりについての記述の解釈で、畿内説と九州説とに分かれる。
 諸説ある背景を整理した上で、ここから哲夫さんを突き動かすのは、大いなる私情だ。故郷・奈良県桜井市にある「箸墓古墳」の倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)を卑弥呼とする説があり、同古墳がある纒向遺跡は邪馬台国の有力候補地とされる。
 少年時代に自転車でよく箸墓古墳の外周を走り回ったという哲夫さんは、桜井市のゆるキャラが「ひみこちゃん」であることも踏まえ、「もう奈良でええんじゃないかと思ってます」と大胆に宣言する。奈良県内で「三角縁神獣鏡」が出土していることも畿内説の根拠に挙げた。
 一方、九州説の根拠もいくつか語りはしたものの、関連のスライドは猛スピードで早送りすることで畿内説を擁護した。
 ■結論は
 講演中、哲夫さんは何度も歴代天皇の名前をすらすらとそらんじてみせた。
 高校時代、歴代の総理大臣を暗記する宿題で勘違いして歴代天皇の名前を覚えてしまったといい、「おかげで体系的に歴史を学べるようになった」と胸を張る。
 肝心の邪馬台国と卑弥呼の謎については「論争はまだまだ続く」と総花的にまとめた後、一転して乳酸菌飲料「カルピス」の語源を熱弁。最終的にインドの古代史に話をそらして締めくくった。
 哲夫さんは10月5日にも東灘区文化センターで写経教室の講師を務める。午前10時~正午。受講料3300円。定員50人で要予約。同センターTEL078・822・8333
(井上太郎)

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