神戸ハーバーランド全面開業30年(下)街つなぎ次代へ、関係者3人に聞く

2022/09/30 05:30

街開きから30周年を迎える神戸ハーバーランド。高層マンションが立ち、活気が戻りつつある=2022年1月(撮影・小林良多)

 10月1日に全面オープンから30周年を迎える神戸ハーバーランド(神戸市中央区)。盛衰を重ね、活気回復が期待される今、地域への思いやハーバーランドが持つ可能性について、まちづくりに関わる3人に聞いた。(聞き手・安福直剛) 関連ニュース 神戸ハーバーランド全面開業30年(上)活気再び生まれ変わる港町 神戸ハーバーランド開業30年、1日にアートや食の記念イベント 獅子舞やワイン飲み比べも 神戸市民はロケに慣れっこ? 東京は迷惑顔、大阪は集まり過ぎ


■世代超え愛される場所に 神戸アンパンマンこどもミュージアム&モール ミュージアム館長 鵜丹谷理絵子さん
 ハーバーランドの関係者がまちづくりに真剣で、熱意を持って誘致してくれ、駅からのアクセスなども踏まえてここでの開設を決めたと聞いています。関西唯一の施設です。
 ウオーターフロントの再整備が進み、三宮や新神戸方面からのアクセスも重視されているようなので、メリケンパークなどほかの臨海部の施設とも連携し、一体となって神戸を盛り上げていければと思います。
 新型コロナウイルス禍による休業後、「やっと来られた」と喜ぶお客さまの声が多く、この地に根付いて地道に努力する重要性を感じます。アンパンマンの変わらぬ世界観を大切にし、子どものために安心・安全を何より心がけています。
 当館は比較的最近できた施設ですが、ハーバーランドの皆さんとともに、地域の一員として世代を超えて愛される場所を目指したいと思っています。

■西の拠点 役割これからも 神戸市都市局駅まち推進課担当係長 谷口文彦さん
 ハーバーランドはメリケンパークや新港町周辺などほかの臨海部とのつながりが非常に重要な場所です。連節バス「ポートループ」が三宮や新神戸方面から巡回しているのは、回遊性の向上を目指すためです。
 神戸市としてはそれだけではなく、元町方面からもアクセスしやすいよう、ハード整備を計画中。JR神戸駅周辺一帯のリノベーションも重要だと考えています。
 まちづくりは、市だけでできるものではなく、民間事業者の方々との連携が大切。民間の活力を生かしながら、市が公共空間の整備や美化、にぎわいづくりのためのイベント開催などで後押しできればと尽力しています。
 ハーバーランドは30年前、神戸の都心部で東の三宮と並ぶ西の拠点として開発されました。その役割は今も、これからも変わらないと思います。

■工夫を続け頑張りたい 神戸ハーバーランド温泉万葉倶楽部プロメナ神戸事業部長 小野叔徳さん
 2009年、ビル管理の仕事で初めてハーバーランドに来ました。当時はリーマン・ショックの直後。テナントが大量に撤退しました。半年で20店舗ほど。ビル内はがらんとして、寂れた商店街のようでした。
 ただ、ハーバーランドは過去にも多くのテナント撤退の経験がありました。一気に問題が解決するわけではない。だから悲観せず、いろんな仕掛けをしてみようとハーバーランド内の仲間に呼びかけました。
 12年の阪急撤退も衝撃でしたが、翌13年のアンパンマンミュージアムの開業で雰囲気が一変したのをよく覚えています。客層が変わり、親子連れの行列を驚きながら見ていました。当社もお客さまのターゲットを変えるなど、良い意味で工夫が必要になりました。
 幅広い年齢層の方が訪れる場所です。次世代の人にも愛着を持ってもらえるよう頑張りたいですね。

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