「抜け出したい、ひきこもり」アバターになってバーチャル空間から第一歩を 神戸市が支援

2022/11/01 05:30

オンラインでの当事者会。バーチャル空間で他の参加者と交流する=神戸市中央区橘通3

 神戸市の神戸ひきこもり支援室(神戸市中央区橘通3、市立総合福祉センター1階)は社会復帰を望むひきこもりの人を支援するため、月2回の当事者会を始めた。うち1回は自宅などから参加できるオンラインでの開催。担当者は「まずはオンラインで練習し、知らない人と会話するハードルを下げてもらえたら」と期待する。(名倉あかり) 関連ニュース 孤独・孤立に悩む若い世代増加 SNSが「逆に孤立感深める」ケースも 正社員化押し付けないで 社会と距離置く氷河期世代 就労以外の支援も 家出や非行「経験したからこそ」子ども支援へNPO設立 兵庫・小野の女性、家族の絆づくり目指す


 同支援室は2020年2月に開設された。相談件数は増加傾向にあり、前身のひきこもり地域支援センターが受け付けた18年度の749件に比べ、21年度は2418件と3倍以上に増えた。約6割は家族からの相談だという。
 同年度の当事者からの相談では「社会復帰したい、働きたい」が最多の27%。「とにかく相談したい」「ひきこもりから抜け出したい」などが続いた。
 一方で、相談者から「当事者の話を聞きたい」との声が上がったことから、同支援室は当事者会を設けた。
 10月下旬に開かれた会では、バーチャル空間「oVice(オヴィス)」のサービスを利用。30~40代の5人が使い方を学んだりチャットでやりとりしたりして交流した。
 オヴィスは、オフィスを模した空間をアバター(分身)で自由に移動でき、会話をするミーティングルームや休憩スペースもある。自宅でできるストレッチの動画や就労情報が載っているサイトも紹介している。
 同支援室によると、オンラインの活用は新型コロナウイルスの感染予防になる上、自宅から参加しやすく、疲れた時に遠慮なく休憩できるなどのメリットがある。今後、起業家らを招いた講演会も検討している。
 参加した市内の30代男性は会社員を経て約3年ひきこもり状態だったといい、「ひきこもり経験があると分かっている当事者同士なので、気楽に話しかけられる」とほっとした表情だった。
 次回は9日、同支援室で対面形式の会を開催予定。参加希望や相談の受け付けは平日午前9時~午後5時。神戸ひきこもり支援室へ電話(短縮ダイヤル「#8900」か、TEL078・361・3521)か、メール(hikikomori_shien@office.city.kobe.lg.jp)、来所で。

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