民家で見つかった大鍋と鉄かまど 不要品で処分予定が…“歴史”分かり一転保管へ

2022/08/11 05:30

大塚地区で見つかった戦前の大鍋と鉄のかまど=三木市大塚2

 兵庫県三木市の民家から、戦前の地域行事の料理用に使われたとみられる大鍋と鉄のかまどが見つかった。かつては地域を挙げて行っていた冠婚葬祭時に活躍したが、戦後、葬式などが斎場で営まれるようになり、使われなくなった。郷土史家の筒井俊雄さん(93)=同市=は「まきで多くの米が炊ける鍋とかまどは災害時に役立つのではないか」と話している。(長沢伸一) 関連ニュース 「敵機襲来。アカン西宮や。」夜空に飛行機の爆音と焼夷弾… あの晩、九死に一生を得た少年の話 焼けただれた妹をたんすに納め弔った 15歳の少年がみとった家族7人の最期 胎内被爆者の声、世界に届け 手記「生まれた時から被爆者」翻訳の関学生ら、当事者と交流


 大鍋は7月上旬に民家の納屋で見つかった。不要品として処分される予定だったが、郷土史家の筒井さんに情報が寄せられた。大きさは直径65センチ、深さ30センチ。鍋を支えるかまどは高さ50センチで、ドラム缶と鉄車輪を使って加工されている。筒井さんは「戦後なら溶接されている。リベットで止めてあるので戦前の物だろう」と推察する。
 筒井さんによると、こうした大鍋は、多数の人が集まる冠婚葬祭などのために、地域内で所持していたといい、大塚地区内だけで少なくとも五つはあったという。
 鉄のかまどにはまきを入れる穴が開き、現在も使用可能。一度に米1斗ほどを炊くことができ、結婚式や葬式などで、大鍋に米と湯を入れて回す技法から「湯立飯」、または男性が担い手となるので「男飯」と呼ばれていた。
 「災害時に電気やガスが止まっても、これが一つあれば、つぶれた家の廃材をまきにしてご飯が炊ける」と筒井さん。大塚地区の災害備蓄庫に保管されることが決まった。
 筒井さんは「今は邪魔者になっているが、役割はまだ残っている。他の地区でも見つかった時に、収納しておいて災害の時に役立ててほしい」と呼びかけている。

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