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スター絵師“夢の競演” 姫路で「五大浮世絵師展」 |
更新日:2019年05月31日
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浮世絵の粋を集めた会場=姫路市本町、県立歴史博物館
江戸時代後期の代表的な浮世絵師といえば、まず浮かぶのが喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重。この4人に奇想天外な着想で知られる歌川国芳を加えた「五大浮世絵師展」(神戸新聞社など主催)が、兵庫県立歴史博物館(姫路市)で開かれている。美人画、役者絵、風景画など多彩なジャンルで頂点を極めたスター絵師たちの個性豊かな世界が堪能できる。(浅野真由美)
2011年の「四大浮世絵師展」に続き、今回も神戸の美術コレクター中右瑛(なかうえい)さんのコレクションから名作146点を集めた。
まずは色香漂う美人画で一世を風靡(ふうび)した歌麿。胸から上をアップにした「大首絵」を美人画に初めて取り入れた絵師だ。踊り子の上半身を描いた「当世踊子揃(とうせいおどりこぞろい) 吉原雀(よしわらすずめ)」は代表作の一つ。若い芸者が歌舞伎の装束で小首をかしげて舞う。「雲母摺(きらず)り」と呼ばれる技法で背景に光沢を出し、女性のあでやかさが引き立つ。
続いて写楽。わずか10カ月で姿を消した謎の絵師だ。表情やしぐさを誇張した役者絵や相撲絵で知られる。中でも「二世嵐龍蔵の金貸石部金吉(かねかしいしべきんきち)」は、にらみをきかせた役者の目や一文字の口がユーモラス。それまでの美しい姿形の役者絵とは一線を画す斬新さで、「役者絵の衝撃」という展示の説明にうなずく。
北斎は浮世絵の風景画のパイオニアだ。世界的に有名な「富嶽(ふがく)三十六景」は70代ごろの作品。「怒濤(どとう)のブルー」と題された展示の見どころは、深みのある青の色彩だ。正体は人工顔料「ベロ藍」で、今でいう「プルシアンブルー」。輸入された当時は最新の画材で、色あせない特長がある。
人気は、新千円紙幣に採用される「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏(おきなみうら)」。巨大な波が船を巻き込むような構図に息をのむ。遠くに見える富士山の「静」と大波の「動」が対照的だ。今回は役者絵や、和歌の六歌仙を描いた文字絵なども紹介。どんな絵も見事に描く天才ぶりがうかがえる。
広重は、北斎と並ぶ風景画の巨匠。北斎に刺激されて風景を描き始めたとされる。代名詞の「東海道五十三次」は、季節の情緒と各地の風情、そこで暮らす人々の息づかいが伝わる。
展示のテーマは「雨・月・雪の江戸」。晩年の連作「名所江戸百景」は、カメラで切り取ったような大胆な構図が面白い。中でも「大はしあたけの夕立」は一面に描かれた斜線から雨の音が聞こえるようだ。梅の枝ぶりと花が印象的な「名所江戸百景 亀井戸梅屋敷」とともに、ゴッホが模写したことでも知られる。
巨大な骸骨が武者に襲いかかる「相馬の古内裏(ふるだいり)」は、「奇想の画家」と称される国芳らしい作品だ。魑魅魍魎(ちみもうりょう)を操る敵と戦う物語の一場面で、その感覚は現代の映画やアニメを連想させる。通俗性が強いせいか、評価されたのは昭和以降だが、あらためて江戸の浮世絵の多彩さに圧倒される。
江戸後期は浮世絵がらん熟した時代。「黄金期」を追体験できるぜいたくな展覧会だ。「それぞれの絵師に得意とするジャンルがある。展示作品は傑作ばかり。じっくり見比べて楽しんでほしい」と担当の山田加奈子学芸員は話している。
6月16日まで。月曜休館。大人千円、大学生700円、高校生以下無料。JR姫路駅から神姫バスで「姫山公園・博物館前」下車。同館TEL079・288・9011








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