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文豪・川端康成、美への視点 姫路2館でコレクション展 |
更新日:2019年10月18日
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姫路市立美術館では、東山魁夷ら近現代日本の絵画をはじめ、多彩な美術品が並ぶ
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姫路文学館では、文学者らの書幅や書簡も多い
日本人初のノーベル文学賞受賞作家、川端康成は美術品の収集家でもあった。姫路市立美術館(兵庫県同市本町)と姫路文学館(同市山野井町)で開催中の「文豪川端康成と美のコレクション展」では、国宝2件を含む絵画、工芸品、書幅など約280点が並ぶ。川端コレクション展としては過去最大規模といい、川端の美へのまなざしとともに、美術家や文学者との交流もうかがえる。(池本新子)
■姫路市立美術館
コレクションの幅広さにまず驚かされる。土偶や埴輪(はにわ)、仏像など古美術から、猪熊弦一郎や熊谷守一、草間弥生ら近現代絵画、北大路魯山人や富本憲吉らの工芸品、ピカソ、ルノワールの素描などの西洋美術まで楽しめる。
川端の言葉も紹介。「好きか、好きでないか、惹(ひ)かれるか、惹かれないか、よいか、よくないか」との視点で美と対峙(たいじ)していた。
しなやかだが強さもにじませるロダンのブロンズ作品「女の手」を仕事机の上に置いていたエピソードや、江戸期の池大雅と与謝蕪村による洒脱な「十便十宜図(じゅうべんじゅうぎず)」(国宝)を傍らに置き、蕪村が制作した文台を眺める様子の写真も紹介されている。自らの感性に強く触れた作品を、ごく身近に置いて愛(め)でていたことが伝わる。
コレクションの中で最も点数を占めるのは、近現代日本の絵画。中でも日本画の巨匠、東山魁夷と、早世のシュールレアリスム画家、古賀春江とは、深い交流があり、作品点数も多い。ノーベル文学賞受賞の際、川端が揮毫(きごう)した書を東山がびょうぶとし、書の内容に合わせて秋の野を金泥でリズミカルに描いたものなど、2人の親しさが垣間見える。
古賀との付き合いは短期間だったが、作品は静物画や風景画、夢幻的な「煙火」「そこに在る」など多彩。古賀の没後、論考を発表したり、美術館に作品を寄贈するなど、評価の確立に尽力したという。
■姫路文学館
文学館で圧巻なのは、書幅や書簡。敬愛した徳田秋声や恩人の菊池寛、親しかった横光利一、林芙美子、三島由紀夫ら、近現代文学史を彩るそうそうたる作家が並ぶ。それぞれを納める箱に由来などを書いており、一人一人への思いが感じられる。
太宰治が川端に送った芥川賞懇願の書簡も残されている。切々と芥川賞を請い、長さ4メートルにも及ぶ。また、近年発見された川端の初恋の人、伊藤初代宛ての未投函(とうかん)書簡もある。
「文字から各々の個性を感じてもらえるのではないか」と、学芸員の徳重公美さんは話す。
もう1件の国宝、浦上玉堂「凍雲篩雪図(とううんしせつず)」(29日から展示)や、ノーベル文学賞関連資料も展示している。
美術館学芸員の安部すみれさんは「両館に並ぶ多様なコレクションから、人間川端の魅力を感じていただければ」と話している。
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11月4日まで。月曜(11月4日は開館)休館。2館分観覧料は一般1400円ほか。1館のみの観覧チケットはない。姫路駅から神姫バス約10分。美術館TEL079・222・2288▽文学館TEL079・293・8228








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