明治創業の呉服店を再生 日本料理店やベーカリー・カフェに 三田
2020/12/05 05:30
日本料理店「桶屋町 神田」の店内=三田市中央町
江戸時代後期の建築とされる兵庫県三田市中央町の町家が、日本料理店が入る商業施設「IWAKI-旧いわき呉服店-」として生まれ変わり、4日オープンした。入り母屋造りの柱、梁(はり)など建物の基礎はほとんどそのままで、欄間も内装に生かし、明治時代から呉服店として歩んだ歴史を受け継ぐ。(小森有喜)
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市の第三セクター「三田地域振興」が取り組む町家再生事業。木造2階建てで店舗面積は約195平方メートル。1階が2区画に分かれており、うち北側が日本料理店「桶屋町 神田」としてオープンした。もう片方にはベーカリー・カフェが入り、来春に開業する予定。
建物は元々、1883(明治16)年創業の「岩城(いわき)呉服店」だった。代々経営を続けたが5年前に廃業し、昨年に市が景観重要建造物に指定。近くに住む所有者の香下守義さん(70)が「建物を取り壊せば、ここに呉服店があった歴史が忘れ去られてしまう。地域活性化に生かしてほしい」と改装を決断。丹波篠山市の古民家再生会社「NOTE(ノオト)」も協力して改修方法の検討を重ねた。総事業費は約3100万円で、うち1千万円を市が補助した。
「桶屋町 神田」店主の神田光伸さん(40)は、大阪の日本料理店で修業した後、9年前から三田市内の料理店で働いていた。「伝統ある建物の風情を楽しみながら、三田の旬の食材を楽しんでほしい」。町家の蔵に眠っていたガラス棚などを磨いて店内に並べ、インテリアとして再活用した。店名の「桶屋町」は江戸時代の地名から取ったという。
正午~午後3時、午後5時半~8時。ランチ5300円、夜は8千円でいずれもコース料理。予約が必要。同店TEL079・509・1529
一方、ベーカリー・カフェは現在、神戸市北区でパン店を開いている杉浦勲さん(40)が開業する予定。生まれ育った三田で初の出店となり、天然酵母の素朴な味わいを売りにし、店内で飲食できるコーナーを設けるという。杉浦さんは「駅からも近いので、地域のにぎわいづくりに一役買えたらうれしい」と話している。三田地域振興TEL079・563・8140