尼崎JR脱線事故で三田学園のOB犠牲 命の重さ、後輩が語り継ぐ 吹奏楽部員が献花

2022/04/26 05:30

石井勝さんの顕彰碑に花を手向ける吹奏楽部の生徒=三田学園

 尼崎JR脱線事故で犠牲になった三田学園(兵庫県三田市南が丘2)のOB石井勝さん=当時(37)=をしのび、石井さんが部長を務めた同学園吹奏楽部の後輩らが25日、顕彰碑に献花した。 関連ニュース 新年への期待、初日の出とジェット機に乗せて 伊丹スカイパーク 加西市、再生エネルギー浸透へ新会社 太陽光発電所を整備、公共施設手始めに供給目指す 神戸スティーラーズ、応援しよう 県民対象に300円で観戦券販売 1月19日ノエスタ

(小森有喜)

 石井さんは神戸市北区出身で、在学中は吹奏楽部のホルン担当として活躍。1986年に卒業した後、神戸大理学部に進んだ。民間企業にシステムエンジニアとして勤務していたが、出勤途中に事故に遭い、命を落とした。
 顕彰碑は事故翌年の2006年に完成。石井さん同様、神戸大に進んだ中高の同級生が中心になって呼び掛け、吹奏楽部の練習場がある東館の中庭に建てた。高さ約80センチ、幅約1メートルの白御影石に石井さんの生年月日や高校、大学、会社の経歴などが刻まれている。
 また、石井さんが自宅で愛用していたアップライトピアノを遺族が吹奏楽部に寄贈。今も部員が練習で使っており、当時と変わらぬ音色を響かせている。
 この日は中学2年~高校3年の部員42人が参加。花を供えて黙とうし、先輩の無念に思いをはせた。
 顧問の広瀬誠教諭(44)が「事故のことを忘れず生きているありがたさを感じるきっかけにしてほしい」と生徒に伝えた。部長で高校3年の藤長文花さん(17)は「ピアノが石井さんの遺品であることは部員全員が知った上で、ありがたく使わせていただいている。こうして毎年献花をすることで石井さんや事故のことを伝え続けていきたい」と話した。
【記事特集リンク】尼崎JR脱線事故

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