「ナラ枯れ」姫路・西播磨に拡大中 たつの・鶏籠山で初確認 山腹の木が赤く変色
2021/09/09 05:30
神戸新聞NEXT
 兵庫県たつの市中心部の景勝地・鶏籠山に今夏、「ナラ枯れ」の被害が初めて確認された。青々とした木々の中、中腹辺りに赤く変色した木がぽつんと見える。被害は但馬から阪神間、神戸を経て姫路・西播磨にも拡大中で、たつの市などが警戒を強めている。
          
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 ナラ枯れはカシノナガキクイムシという甲虫が原因。この虫が媒介する病原菌が広葉樹を枯死させる。里山に多いミズナラやコナラが特に被害に遭いやすい。紅葉の季節を待たずに葉が赤く変色し、8~9月に木そのものも枯れてしまう。
 枯れた後、数年後には倒木となり、豪雨時などに道路や住宅地に流れ込む危険があるほか、里山の治水にも悪影響を及ぼすため、兵庫県光都農林振興事務所は発見した場合の通報を呼び掛けている。
 県内でのナラ枯れは2006年度まで但馬に限定されていたが、年々範囲が広がり、10年度は県内41市町のうち9市町で被害が確認された。さらに18年度は22市町、20年度は29市町にまで拡大した。
 姫路市では19年度、たつの市と福崎町では20年度に初めて被害が報告された。たつの市農林水産課によると、同市では20年度に誉田町や揖西町で見つかったのに続き、21年度には鶏籠山でも枯死している木が発見された。龍野城の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)の背後にあるため、景観への影響も懸念される。
 地元住民は「長年、鶏籠山を眺めて暮らしているけれど、あんな色を見たのは初めて」と心配する。ただ、虫の繁殖力は限られており、山全体が一気に枯れるようなことはない。
 さらなる被害拡大を防ぐには虫の駆除や、被害木の伐採などが必要となる。鶏籠山は国有林が大部分を占めており、管轄する林野庁兵庫森林管理署(宍粟市)は「県や市と連携して対策を検討していく」としている。(直江 純)