糸と布が織りなす「名作ハイジ」27枚の「絵キルト」原画に絵本 作家の高原ゆかりさん
2021/11/20 05:30
絵キルト作品を原画にした絵本「ハイジ下巻~旅立ち~」を出版した高原ゆかりさん=相生市矢野町榊
兵庫県相生市のキルト作家・高原ゆかりさん(66)が、さまざまな質感の布や糸を組み合わせて作った「絵キルト」を原画に、児童文学の名作「アルプスの少女ハイジ」の絵本を完成させた。縦約40センチ、横約70センチの作品計27枚を画像データ化して一冊に仕上げており、アルプスの雄大な自然や個性豊かなキャラクターが優しい風合いで表現されている。(地道優樹)
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出版を記念し、23日から神戸市東灘区の神戸ファッション美術館で個展「キルトで蘇(よみがえ)るハイジの世界展」も開催。絵キルトの実物52点を紹介する。
高原さんは小中学校の元美術教諭で、現在は地元で絵本図書館「ゆう風舎」を営む。30年ほど前から絵キルトを創作している。
絵本は1年前に出版した上巻の続編。タイトルは「ハイジ下巻~旅立ち~」(出版ワークス)で、ハイジがクララの屋敷を離れてアルムの山に帰ってきた場面から始まる。原画の絵キルトは1枚当たり2週間がかりで手縫いしたという。
草原にはざらりとした麻を、山や空にはつるりとした木綿を使うなど「変化をつけるのが大事」と高原さん。透け感のあるレース素材を花びらに見立てたり、色鮮やかな花柄の布をキャラクターの衣装にあしらったりと、細部にまでこだわりが光る。
巻末にはピアノ伴奏に合わせて絵本の朗読が聞けるQRコードも添えた。高原さんは「ハイジには困っている人へのいちずな思いやりがあり、お金や競争では得られない精神的な幸せに気付かせてくれる。絵本をきっかけに原作も手に取ってもらえたら」と話す。
AB判、1760円。個展は28日までで、午前10時~午後6時(最終日は同4時まで)。入場無料。ゆう風舎TEL0791・29・1285