埼玉の水害でカフェ閉店、赤穂に帰郷して再起したパン店が1周年
2022/02/11 05:30
Nanaパンの店舗=赤穂市塩屋
兵庫県赤穂市塩屋のパン店「Nana(ナナ)パン」が15日、開店1周年を迎える。パン職人の松崎奈々さん(45)=同市=は、さいたま市内で営んでいたカフェ兼住居が水害に遭って閉店に。帰郷して一から出直した。
関連ニュース
ガレージで念願のカフェ、大阪から移住の親子がオープン「田園眺めて、ゆったりお茶を」
「先生な、パン屋さんになりたいねん」元教諭が念願の店舗オープン 知る人ぞ知る人気パン
カキの人気料理店が移転 ビル改装「浜辺の食堂イメージ」 赤穂
奈々さんは赤穂で育ち、各地の飲食店で約20年間調理に携わった。三重県伊賀市の農業公園でパン作りを学び、東京のほか、ワーキングホリデーで行ったオーストラリアでも店でパンを焼いた。
さいたま市では玄関に迷い込んだ猫のヤマトを2018年10月に飼い始めた。19年10月、台風19号で荒川が氾濫。河川敷の公園にあった店は天井近くまで水没し、ヤマトは行方不明に。水が引くのを待って捜し回った。不安が募る中、屋根裏から「ニャー」と鳴き声がした。水害の後始末に気が沈みがちだったが、何食わぬ顔の猫に励まされた。再出発した赤穂ではヤマトの縫いぐるみや看板が店の象徴となった。
奈々さんは販売を担う姉の鳴瀧小百合さん(46)と店を切り盛りする。商品はクロワッサン、蜂蜜やレモンが入った食パン、ナッツのカンパーニュなど約30種類。サクッと口溶けの良いパンを目指し、完全に焼き上がる直前で火を止めるという。元店舗の土間を改装した売り場は狭いが、「近所の人が気軽に訪れる店に」と張り切っている。
11~15日は全品1割引き。イラストレーター新井緑さん(38)=赤穂市=の特製トートバッグを800円で販売。午前8時~午後5時。水・木曜定休。パンの取り置き可。国道250号沿いの木村酒店東側に駐車場3台分。NanaパンTEL0791・27・9198
(坂本 勝)