播磨で発売だいたい20年ぐらい?の「カレー麺」 たつの市の製造元、看板商品のルーツに迫る

2022/02/19 15:00

森口製粉製麺のカレー麺を使った一心の「みそカレー麺」

 手延べそうめん「揖保乃糸」で知られる乾麺産地・播磨に、「カレー推し」の業者がある。森口製粉製麺(兵庫県たつの市)。看板商品「カレー麺」は、麺の断面が通常のうどん生地と、カレー粉を練り込んだ生地との2層構造。直営店や高速道路の売店など限られた販路だが、発売から「だいたい20年」(同社)のロングセラーだ。誕生のきっかけを探ると、天空の城・竹田城跡(朝来市)の麓にある手打ちうどん店の危機だった。(段 貴則) 関連ニュース 【写真】自家製手打ち麺でつくる「カレーカレーうどん」 「えきそば、ゴマみそ」姫路駅の二つのソウルフード 「変わらぬ味」武器に新たなファン獲得へ 明石でなぜ「きしめん」? 玉子焼に負けない隠れソウルフード 始まりはスパゲティ専門店

 播磨と但馬を結ぶ播但連絡道路が2000年、朝来市和田山町まで延伸し、全線開通した。「車が播但道に流れ、下道の飲食店は素通りされる」。和田山インターチェンジに近い国道312号沿いの「手打ちうどん一心竹田店」店主、足立善左衛門(よしざえもん)さんは、店の存続に不安を感じた。
 足立さんは1990年代、ウメなどを練り込んだ生地を2層にし、カラフルな手打ちうどん麺のレシピを完成させていた。「今なら『インスタ映え』間違いなしだが、当時は早すぎた」。お蔵入りとなっていたが、播但道開通を控え、2層麺の技術を生かした商品づくりに再び挑戦。目を付けたのが、若者を含め、幅広い世代に人気があるカレーだった。
 取引先の紹介で、足立さんと森口製粉製麺の先代社長、森口一朗さんが顔を合わせ、同社が2層タイプの乾麺づくりに取り組むことになった。
 「通常の生地とカレー生地を1本に貼り合わせるだけでは、乾燥後に反り返るなど商品にならない。足立さんの助言を得ながら、生地づくりの水の量を変えるなど、とにかく試作を繰り返した」と土井晃営業部長。完成まで2年を要した。
 品ぞろえを増やし、唐辛子を練り込んだ生地とカレー生地の2層タイプなども商品化。今冬には「だいたい20年」とあいまいな表現で節目をPRし、カレーパスタも発売した。森口暢啓(まさひろ)社長は「ご当地食材を練り込んだ麺づくりの依頼も多い。カレー麺のノウハウを生かし、さまざまな商品開発につなげたい」と話す。
 足立さんもカレー麺を使ったメニューや、自家製手打ち麺のカレーうどんを店で出した。飲み干せるほどルーをうどんスープで割ったカレーだしも売りの一つ。来店客の約8割が、カレー関連の品を注文するという。足立さんは「互いに看板商品ができ、おかげで店はつぶれず、息を吹き返した」と笑顔を見せる。
 同店は水曜定休。コロナ禍に伴い、午前11時~午後2時半(土日祝は同7時)。同店TEL079・674・0086
■受験生にエール これ食べて試験に受(う)カレー
 カレー麺を食べて試験に「受(う)カレー」-。
 森口製粉製麺は「受 祈合格」と記した絵馬風のシールをカレー麺の商品パッケージに貼り、本社隣接の直営店「もりぐちの麺や。」で販売している。斑鳩寺(太子町)で「受験生の合格を」と祈願した商品。同社担当者は「冷え込みが厳しくなっており、夜食にも最適。体を温めて頑張って」とエールを送る。
 「カレー」をもじった受験生応援企画として、同社が数年前から考えてきた構想。今年からシールを貼った限定120個を販売した。受験生の家族らが買い求めているという。
 価格は1個432円。営業は火、金曜日の午前10時~午後3時。同店TEL090・9986・0507

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