森の中の廃校がキャンプ場に、サバゲーも 「校舎残したい」住民の思い引き継ぐ 宍粟

2022/08/27 05:30

旧千種北小学校を活用した「ちくさ放課後キャンプ場」を開設した西中徳生さん(左)ら=宍粟市千種町西河内

 10年前に閉校した旧千種北小学校(兵庫県宍粟市千種町西河内)で、運動場を活用した「ちくさ放課後キャンプ場」がオープンした。車の乗り入れができるオートサイトと、敷地内で自由にテントを張れるフリーサイトを整備。閉校後、利用されない状態が続き、解体も検討されていた「地域のシンボル」が新たに活用される。(村上晃宏) 関連ニュース 閉校した小学校跡地がグランピング施設に再生 手ぶらでキャンプや川遊び満喫、かまどで炊いたご飯も レストランにお風呂、廃校の小学校がゲストハウスに 温かみの「おもてなし」で人気 兵庫 休校から45年後に廃校 川西・黒川小 ダム整備で校区水没、県内最古級の木造校舎


 今年4月に設立された会社「久遠(くおん)」(同市千種町西河内)が運営。社長の西中徳生(とくお)さん(43)=神戸市兵庫区=と同社キャンプ部門部長の高瀬直樹さん(43)=同県西脇市、同社統括部長の佐田野(なお)さん(34)=高知市=の3人が業務に当たる。
 同校は少子化の影響で、2012年3月に閉校。その後、地域住民が時折コンサートを開くなどしたが継続的な維持管理は難しく、放置状態が続いていた。宍粟市は活用する民間事業者を募ったが応募はなく、校舎解体も検討されていた。
 西中社長らは21年春から、エアソフトガンなどで撃ち合う「サバイバルゲーム」やキャンプができる施設開設の構想を温め、利用できる廃校舎を探していた。同年6月ごろに旧千種北小を訪れ、近くに民家もなく自然に囲まれた立地を気に入り、市から10年間無償で借り受けた。
 校舎内は荒れ放題で、窓ガラスは割れ、雨漏りで腐敗が進んでいた。週末に来てはリフォーム作業を続け、オープン準備を進めた。昨年12月に住民説明会で事業内容を説明。西中社長は「『校舎を残したい』という住民の思いを聞いた。その思いを引き継ぎたい」と振り返る。
 キャンプ場は約5800平方メートルの運動場で楽しめる。テントや椅子、机、寝袋、たき火台などを貸し出し、校舎内の家庭科室で簡単な調理なら可能。子どもが遊べる道具をそろえたキッズルームもある。今後、サバイバルゲームのイベント開催も検討する。
 西中社長は「学校の雰囲気が残る『放課後』をキャンプしながら楽しめる。ファミリーが安心して利用できるキャンプ場にしたい」と意気込む。
 平日はオートサイトの宿泊が1区画5千円、日帰りが1区画3500円。フリーサイトは宿泊が1人1300円、日帰りが1人千円。宿泊は午後2時~翌日午前11時。日帰りは午前9時~午後4時。いずれも休日の利用は料金が異なる。9月末までは無休。同社TEL0790・76・3670

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