衝突事故の車から高齢男性救出「勇気振り絞って行動できた」 相生産高生3人に感謝状
2022/09/16 05:30
署長感謝状を受け取った(左から)山本瀬人さん、金谷奏志さん、溝口大稀さん=相生産業高校
交通事故で破損した車の中に閉じ込められた80代男性を救助したなどとして、兵庫県警赤穂署は相生産業高校(相生市千尋町)の野球部員3人に署長感謝状を贈った。3人は「最初はいらんことせん方がいいとも思ったけど、勇気を振り絞って行動できて良かった」と笑顔で振り返る。(地道優樹)
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8月12日午後1時前、赤穂市砂子の国道250号で、交差点を右折しようとしていた乗用車と、直進してきた乗用車が衝突した。
「ガシャン!」。2年の金谷奏志さん(16)と山本瀬人さん(16)は突然の大きな音に驚いた。赤穂市内で練習試合を終え、金谷さんの母親が運転する車での帰り道だった。目の前で事故を起こした2台はボンネットが大きくへこんでいた。
1台の車からはすぐに若い男性が出てきたが、もう1台からは人が出てくる気配がない。「助けに行こう」。心配した金谷さんが山本さんに声をかけ、2人は急いで事故車両に駆け寄った。運転席にぐったりした様子の高齢男性がいた。「大丈夫ですか?」と声をかけても返事はなく、2人は男性を抱えて車外へ助け出し、持っていたタオルを首の下に敷いて歩道に寝かせた。
そこに1年の溝口大稀さん(15)も駆け付けた。父が運転する車で練習試合から帰る途中、事故現場を通りかかり、心配して戻ってきたという。3人は車の前に立ち、追突などが起こらないよう交通整理もした。その後、110番を受けて到着した赤穂署員たちと力を合わせ、事故車両2台を道路脇まで素手で押し出した。
赤穂署によると、男性は80代で、肋骨(ろっこつ)を折るなどの重傷だったが、命に別条はないという。相生産業高校で署長感謝状を受け取り、男性の容体を知った3人は「無事でよかった。これからも良いことがしたい」と話した。