「引退否定」太子町長の選択は? 不信任決議受け想定される3パターン、年内選挙は確実

2022/09/30 05:30

太子町役場=兵庫県太子町鵤

 町議会と対立を繰り返してきた兵庫県太子町の服部千秋町長(62)が26日、不信任決議を受けた。自治体トップに議会が「クビ」を通告するという異例の事態だ。総務省の統計では、2018~20年度の3年間で可決例は全国で4市町だけ。服部町長は議会を解散して対抗できるが、他の選択肢も与えられている。いずれにしても年内に選挙が行われる見通しだ。(直江 純) 関連ニュース 兵庫・太子町長の不信任決議案、賛成多数で可決 前教育長セクハラ疑惑巡り 町議会解散か失職か、選択へ セクハラ疑惑、町教育長が辞職願「職にとどまること町益にならない」 兵庫・太子町 太子町教育長がセクハラか 「酒席に誘われ手を握られた」女性教育委員が辞職


 服部町長は取材に「進退は熟考する」と答える一方、引退は否定した。残る選択肢は主に次の三つだ。(1)議会を解散し、町議選で町長派を増やす(2)議会を解散、自身も辞職して町長・町議同日選に立候補(3)解散せず失職し、出直し町長選に立候補する-。
 (1)と(2)は不信任通知の翌日から数えて10日以内が条件。今回は10月6日が期限。解散しないまま7日を迎えれば(3)の失職となる。
 今回の不信任決議は出席議員の4分の3以上が賛成との条件を満たし可決された。(1)では新町議15人の過半数が再び不信任を可決すれば町長は失職し、町長選になる。1回目より条件が緩和されるため不信任案が再可決される例が多い。
 (2)で服部氏が当選した場合は任期が2024年8月までの約1年9カ月になる。他の候補が当選した場合は任期は4年となる。
 (3)では誰が当選しても町長任期は4年間。議員は来年4月の町議選(統一地方選)まで同じ顔ぶれなので、服部氏が当選すると対立構図が続く可能性がある。
 選挙日程は(1)(2)だと「11月6日投開票」か「同13日投開票」が想定されるが、10月3日以前に解散すると「11月13日投開票」が日程的に不可能になる。(3)では「11月20日投開票」も選択肢に加わる。
 (1)で不信任が再び可決されれば、町長選は「12月25日投開票」が現実的とみられている。町関係者は「年明け以降の町長選では、新年度予算案の編成に支障が出かねない」と懸念している。

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