異例の不信任決議、太子町長と町議会はなぜ対立を続けたか 就任6年、副町長人事の不同意も3回
2022/10/07 05:30
神戸新聞NEXT
兵庫県太子町議会から異例の町長不信任決議を受けた服部千秋氏(62)は7日午前0時に自動失職し、来月、出直し町長選が行われる。前教育長のセクハラ疑惑への対応だけでなく、副町長の人事案件の不同意が3回を数えるなど2016年8月の就任以降、服部氏と議会は対立を続け、町内部では不協和音が絶えず響いた。なぜ、ここまで混乱したのか。(直江 純)
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9月26日の不信任決議は議員14人のうち2人が欠席・退席し、9人が賛成した。反対に回った3人も「もう少し軽いペナルティーではどうか」などとし、服部氏を全面的に擁護する意見は出なかった。
服部氏と議会との関係で象徴的なのが、首長の意向が色濃く出る特別職人事だ。服部氏は初当選後、町長選の対立候補を副町長に起用しようとして批判を浴びた。次の町幹部起用案も不同意になり、県に派遣を求めるまで約1年半、副町長は不在だった。
ただ、この副町長も3年後に県に戻る直前には、服部氏の町政運営などに批判を隠さなくなった。出直し選への立候補を決めている元教育長の沖汐守彦氏(65)も在任中、小中学校の特別教室へのエアコン設置を巡り、服部氏の独断で予算が削られたとして「町長との信頼関係が崩れた」と議会本会議で発言している。
沖汐氏は任期を半年残して辞任しようとしたが、服部氏は後任を決められなかった。沖汐氏が任期満了で退いた後、服部氏が次に任命した教育長は女性教育委員へのセクハラ疑惑が発覚し、8月に辞職した。
議会側は服部氏の組織管理にも批判の矛先を向ける。全職員約200人の町役場で、早期退職者は5年間で計49人。中堅職員は「早期退職が異常に多い。管理職になるのを敬遠する人も目立つ」と打ち明ける。新入職員の採用を増やして対応したため、西播磨の市町では唯一、平均年齢が40歳を切った。服部氏は「退職理由は人それぞれ。私への不満が原因とは考えていない」と反論している。
服部氏は5日から各戸配布を始めたビラで、「人事案件の否決はさておき、町政はまったく順調」と主張。ある町議は「表面を取り繕うような不誠実な態度」と反発を強める。