新開地・喜楽館で伝統復活を 姉様キングス、音曲漫才で初トリ

2019/12/09 18:00

白塗りの芸者姿で音曲漫才を披露する「姉様キングス」(奥写真パネル)。演じる桂あやめさん(左)と林家染雀さん=神戸新開地・喜楽館

 上方落語家の桂あやめさんと林家染雀(そめじゃく)さんの音曲(おんぎょく)漫才コンビ「姉様(あねさま)キングス」が結成20周年を迎え、24日から1週間、神戸新開地・喜楽館(神戸市兵庫区)で記念寄席を開く。落語以外では初めてのトリ。三味線とバラライカのメロディーにのせて笑いを呼ぶ昔ながらの芸で、2人は「伝統を復活させたい」と意気盛んだ。(津谷治英) 関連ニュース 夢の世界、おばちゃんたちのパラダイス 神戸・新開地劇場 こんなところに“卓球の聖地”? ラリーの音響く神戸の地下街 桂文枝さん、若手に「喜楽館で大いに暴れて」

 1999年夏、関西の噺家(はなしか)が集い、大阪で毎年開かれる「彦八まつり」でデビュー。あやめさんと女装した染雀さんが遊び心で披露した。これが好評で演芸場に呼ばれるようになり、本格的に活動を始めた。
 最初は三味線にアコーディオンを組み合わせたが、模索しながらバラライカと音がかみ合うことが分かり、今の形に。染雀さんは「着物もたくさん買うて借金だらけ。元手を取らなやめられませんわ」と笑う。
 芸者姿の華やかさが海外でも受け、英国、ロシア、米国などで公演。大阪の定席・天満天神繁昌(はんじょう)亭でも毎年、クリスマスイベントを開いてきた。しかし、繁昌亭のトリは落語と決まっており、喜楽館で夢が実現することになった。
 神戸出身のあやめさんは、新開地でトリを取ることに感慨を抱く。戦前、劇場や映画館が立ち並び、「東の浅草、西の新開地」と呼ばれた一大歓楽街。その中にあった神戸松竹座は音曲漫才が名物で、トリを務めていた。
 「かしまし娘」や「宮川左近ショー」など音曲漫才は盛況だったが、現在、関西ではほとんど姿を消した。「子どものころはよう見ましたけど、最近はあんまり見られへんようになった。でも関西のお笑い文化の財産やと思うんです」とあやめさん。
 姉様キングスの舞台は、音曲漫才ではおなじみのテーマ曲から始まり、小唄や都々逸を交えながら、テンポ良く笑わせる。「音色に誘われ、寄席に立ち寄ってもらえるような雰囲気をつくりたい。喜楽館の名物にできれば」
 20周年記念ウィークは24~30日(28日除く)の午後2時開演。前売り2300円、当日2800円。26日は夜席(午後6時半開演)にも登場し同3千円、3500円。2人は落語も披露する。神戸新開地・喜楽館TEL078・335・7088

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