阪神・淡路被災地の「通勤通学者にも石綿禍の危険性」専門家
2020/01/10 05:00
ビルの解体現場前を、口を押さえて通る市民。街中は粉塵がいっぱい=1995年2月2日、神戸市中央区三宮町
阪神・淡路の復旧作業などに携わった人の石綿被害では、少なくとも5人が労災や公務災害の認定を受け、1人の遺族が認定を求めている。約1カ月の被災地活動で発症が認定されたことを受け、専門家は「ボランティアや通勤通学で街を歩いた市民にも危険性がある」と警鐘を鳴らす。
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熊本学園大の中地重晴教授らの調査では、神戸市東灘区の解体現場近くで95年2月、大気1リットル当たり約160~250本の石綿繊維を確認。住宅・商業地区の平均濃度0・15本を大幅に上回っていた。
石綿関連疾患に詳しいひらの亀戸ひまわり診療所(東京)の名取雄司医師は、元警察官の認定を「被災地での被害救済の幅を広げる意義がある」と評価。「大震災では街じゅうが建物解体現場のようになり、大量の石綿が出るので、防じんマスクを備えてほしい。解体などで飛散させないための法整備も急がれる」と指摘する。(小林伸哉)