灘高生の熱意、行政動かす プログラミングの「国際競争力高めたい」

2020/01/23 16:00

子ども向けの教室開催を目指す武藤さん(右)と、部活動の後輩大野嘉月さん=神戸市役所

 神戸市が、市の課題を解決する目的の寄付に対し「ふるさと納税」の仕組みを活用する「ガバメントクラウドファンディング」で、小中学生対象のロボットプログラミング教室の開催費を募っている。日本の情報技術の国際競争力を高めたいと願う、1人の少年の熱意に応えた。2月末までに500万円を集めるのが目標だ。(上杉順子) 関連ニュース AI、センター英語の9割正解 「東ロボくん」グループ H3ロケットの先端に取り付ける「フェアリング」 川重工場で作動試験 アシックスが“木”のシューズ 隈研吾氏とコラボ、限定発売


 企画したのは、灘高校2年の武藤煕麟(ひかる)さん(17)=尼崎市。同校ではアマチュア無線研究部のロボット班に所属。班は昨年7月にオーストラリアで開かれた「ロボカップ2019 世界大会」で、若者対象の部門でチーム優勝した。
 小学4年生でロボットプログラミングに出合い、「究めたい」と思うようになった。灘中に進学直後から文化祭などでオリジナルのテキストを基に、小中学生対象の教室を開き続けている。「大人じゃないから、子どもが楽しいと思えるプログラミングを教えられる」と話す。
 中学3年生の時には、神戸市が高校生以上を対象に募集した若手IT人材の米シリコンバレー派遣事業に志願し、最年少メンバーとして参加。現地でプログラミングに対する海外と日本の熱気の差に危機感を覚え、帰国後、久元喜造市長との懇談の場で「このままでは日本は置いていかれる。小中学校でもっとプログラミング教室を開催したい」と直談判した。
 寄付を原資に開く教室は参加無料とし「初心者をゼロから教え、大会に出場できるレベルにまで育てたい。技術を通してさまざまな社会問題を解決できる人になってほしいし、今回のクラウドファンディングが他の中高生が活躍するモデルケースにもなればと思う」と期待する。
 ふるさと納税専用ポータルサイト「ふるさとチョイス」から寄付できる。昨年12月2日から募り、23日午前10時現在、139万9千円が集まった。同市は、児童養護施設で生活する高校生の部活動や課外活動の経費▽「神戸ルミナリエ」を継続開催するための支援費-も同時に募集中。期限と目標額は同じで、達成しなかった場合でも集まったお金はそれぞれの目的に使用される。

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