仲邑、プロ1年目快調 勝ち数同期13人中トップ
2020/04/25 16:02
公式戦10勝目の節目を喜ぶ仲邑菫初段=2019年11月7日、大阪市の日本棋院関西総本部
囲碁の仲邑菫(なかむらすみれ)初段(11)が歴代最年少の10歳0カ月でプロ入りしてから、今年4月で1年の節目を迎えた。囲碁界を超えて社会的に注目される中、3月末までの戦績は22勝15敗で、対局数、勝ち数とも同期13人中、堂々のトップ。昨年まで最年少デビュー記録を保持していた藤沢里菜女流二冠の1年目の成績を上回っており、順調な滑り出しだったといえる=表参照。(井原尚基)
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仲邑は3歳で囲碁を始め、昨年4月、日本棋院が創設した新制度「英才特別採用推薦棋士」の第1号として初段になった。一躍「時の人」となり、公式戦前には井山裕太三冠、女流世界トップの崔精(チェジョン)九段と相次いで記念対局したり、一日警察署長を務めたりする動向が、新聞だけではなくテレビや雑誌で取り上げられた。
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公式戦デビュー局は昨年4月22日。40社100人の報道陣が詰めかける中、同期でプロ入りした大森らん初段と対局したが敗北した。「緊張してうまく打てなかった。悔しいです」と話した。
プロとしての初めて白星を挙げたのは同月28日。「第2回若竹杯」で非公式戦ながら種村小百合二段を投了に追い込んだ。
待望の公式戦初勝利は、7月のプロ入り2局目となる女流棋聖戦予選。田中智恵子四段を破り、藤沢が持っていた11歳8カ月の最年少勝利記録を10歳4カ月に大幅更新した。3局目の女流棋聖戦予選では金賢貞(キムヒョンジョン)四段を破り、最年少で本戦入りを決める快挙も果たした。
その後、9月の4局目では古田直義四段(51)に勝利すると、11月にかけ国内棋戦で男性棋士に7連勝。11~12月には公式戦5連勝の結果も残した。
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1年目の勝率は5割9分5厘で、藤沢の4割を大きく上回った。ただ、12歳10カ月でプロ入りした井山の8割2分1厘には及ばなかった。
ちなみに将棋界では、藤井聡太七段がデビューから29連勝の大記録を挙げたことは記憶に新しく、1年目の勝率は8割6分0厘。1985年12月にデビューした羽生善治九段の1年目は7割6分6厘だった。
仲邑の実力について、兄弟子の大橋成哉七段は「デビュー当時は、弱い石を抱えたまま攻め過ぎて失敗することが多かったが、最近は修正されてきた。どんどん碁がうまくなっており、遅かれ早かれタイトルを獲得するだろう」とみる。
女流棋士の史上最年少タイトル獲得記録は、藤沢の15歳9カ月。昨年1月のプロ入り発表会見で「中学生のうちにタイトルを取りたい」と意気込みを述べた仲邑。3月が誕生日のため、目標が実現すれば記録更新となる。夢は膨らむばかりだ。