休業続くライブハウス クラウドファンディングで490万円の支援

2020/05/23 05:30

舞台上にテントを張って住み込み、ライブ再開の日を待つ風次さん=22日夜、神戸市中央区琴ノ緒町2(撮影・吉田敦史)

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく政府の緊急事態宣言解除を受け、兵庫県が23日午前0時から休業要請を大幅に解除したが、文化施設は明暗が分かれる形となった。各地でクラスター(感染者集団)が発生したとして、ライブハウスへの休業要請は据え置かれたまま。一方、県内の映画館の一部は22日、感染防止策を整えた上で、営業を再開した。 関連ニュース アジア出身女性に働く場提供 料理店存続へ支援を 座席間隔を2席ずつ空けマスク着用で 映画館、予防徹底し再開 居酒屋、劇場手探り準備 ライブハウスは苦境続く

 神戸・三宮のライブハウス「太陽と虎」。休業要請の継続にも「(解除は)最後になると思っているので悲観はしていない」と店長の風次(ふうじ)さん(40)は話すが、出口は見えず、経営は苦しさを増している。
 休業していても毎月、店や事務所、倉庫の家賃は発生する。本来は年間400回ほどの公演を実施しているが、既に約100公演の中止や延期が決まったという。
 店の存続へ向け、風次さんはインターネット上で資金を募るクラウドファンディングを始めた。22日までに400人以上から計約490万円の支援があったという。「びっくりしている。ライブ再開のあかつきには、その時、その場所でしか味わえない感動でお返ししたい」と誓う。
 風次さん自身を支えているのも、そうした店のファンたちへの思いだ。4月初めから尼崎市の自宅に帰らず、ステージ上にテントを張って生活。公演の中止や延期の調整、チケット払い戻しなどの作業にいそしみながら、心配の声を寄せる客やアーティストに「大丈夫。ステージは守っているよ」とメッセージを送る。
 新型コロナの早期収束を願い、率先して不要不急の外出を控える決意から、長かった頭髪を丸めて眉毛をそった。表に「今は来ないで」との文言を掲げ、店名にちなんだこんなメッセージも書いた。「太陽はまた昇り、虎はまたほえる」。その日を待ち焦がれながら。(吉田敦史)
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