なぜ?国勢調査と住基台帳で同じ市の人口に数万人の差異 最大は京都市の5.6万人

2020/09/04 05:30

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 今月14日から始まる国勢調査を巡り、神戸市が世帯人数の集計方法でルールを明確に示すよう総務省に求めている。調査結果を基に地方交付税などが配分されるにもかかわらず、回答がない世帯に対する集計方法が自治体によって異なるためだ。調査を踏まえた人口データと住民基本台帳人口との差が数万人に上る政令市もあり、同市は「調査の信頼性にかかわる」と問題視。一方で、総務省は「運用に問題はない」との認識を示している。(石沢菜々子) 関連ニュース 浅草名物の金のオブジェ 実は神戸と深~い関係 ふるさと納税で“流出”した市税17億円 2年連続で中核市最多 トップが昼寝推奨 勤務時間に全員で仮眠する神戸のIT企業

 国勢調査は5年に1度実施され、地方交付税交付額の決定や都市計画策定のほか、各種施策の基礎資料として利用される。
 神戸市の前回調査(2015年)では、インターネットで36・9%が、郵送で41%が回答した。回答がなく、調査員が近隣住民らに聞き取りをして居住が判明した調査分は14・9%だった。プライバシー意識の高まりやオートロック付きマンションの増加などで、確認が難しいケースが増えているという。
 神戸市は、聞き取りで居住実態が判明した世帯については、国の事務要領に沿い、住民基本台帳などを使って性別や国籍などの情報を補記するが、世帯人数は「1」としている。だが、自治体によっては世帯人数を住基台帳の記録から転用して「2」や「4」などと記し、ばらつきが出ている。
 前回の調査結果を基準にした今年1月1日時点の同市の毎月推計人口は、住基台帳よりも約1万人少なかった。同時点で他の政令市と比較すると、大阪市は約1万3千人、福岡市は約4万1千人多かった。最も開きが大きかったのは京都市で、国勢調査に基づく毎月推計の人口が住基台帳の人口を約5万6千人上回っている。
 国勢調査の人口が増えれば、地方交付税交付額の増額につながる。大学生が多いなど地域による特徴はあるが、神戸市はこうした人口の差異を「調査方法の違いが影響している可能性が高い」とみる。
 同市の久元喜造市長は今月1日に開かれた国勢調査実施本部会議で「自治体の調査方法によって前回のような違いが生じないよう国に強く申し入れたい」と述べた。これに対し、総務省統計局は取材に「住基台帳の活用を認めているケースもあり、問題があるという認識はない。ただ、自治体から問い合わせが相次いでおり、ルールは改めて周知したい」としている。

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