児相の一時保護所、虐待増でパンク状態 県増設へ

2020/12/09 06:00

兵庫県庁=神戸市中央区下山手通5

 兵庫県は、虐待を受けるなどした子どもを一時的に預かる「一時保護所」の新施設を整備する方針を固めた。県は一時保護所を児童相談所(児相)である「中央こども家庭センター」(明石市)に集約しているが、虐待相談の急増で施設は“パンク状態”。多くの子どもが委託先で過ごしており、児相の処遇決定が滞るなどの弊害が出ている。 関連ニュース 「警察に相談しなさい」児童相談所、女児追い返す 午前3時すぎ来所、保護せず 家庭内暴力被害の中1女子、大学生が救う 「虐待しそう」と電話の母親に「かけ直して」 神戸の児相で不適切対応6件

 一時保護所は、親からの虐待や非行行為があった子どもらが、家庭を離れて過ごす。同センター以外では、神戸、明石両市が運営する児相にある。
 一時保護所の利用数は2019年度、409人で10年前の438人からほぼ横ばい。一方、同センターの一時保護所を利用できず、乳児院や児童養護施設などの委託先に入ったのは1358人で、10年前(229人)の6倍近くに増えた。
 子どもを「家庭に戻す」といった児相の決定は、一時保護所が判断材料を提供。委託先の利用増は決定の先送りにつながるため、子どもの心身への負担が増す。但馬など遠方の児相からの入所は、児相職員の移動などの負担も大きい。
 さらに、兵庫県が管轄する一時保護所の定員は18歳未満の人口1万人当たりで全国ワースト2(18年4月時点)となっており、外部から改善を求める指摘もある。
 県はこれらの状況を受け、個室化などを含めた一時保護所の在り方を根本から議論し、新施設の整備に踏み切ることにした。具体的な場所や開設までのスケジュールは「早急に検討する」(担当者)としている。(藤井伸哉)

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