宝塚歌劇雪組公演「fff」「シルクロード」開幕

2021/01/01 16:50

雪組トップスターの望海風斗(右)と、後任の彩風咲奈=宝塚大劇場(撮影・吉田敦史)

 宝塚歌劇雪組公演「『fff-フォルティッシッシモ』~歓喜に歌え!~」「シルクロード~盗賊と宝石~」が宝塚大劇場(兵庫県宝塚市栄町1)で開幕した。男役トップ望海風斗と娘役トップ真彩希帆の退団公演。圧倒的な歌唱力で知られる望海がその実力を余すことなく発揮し、新年の幕開けにふさわしい、華やかで力強い舞台となっている。 関連ニュース タカラヅカ観劇中に心肺停止 大劇場職員ら命救う 「男役から依頼あります」タカラジェンヌも通う下着の名店 レゴで宝塚歌劇の舞台再現 日本唯一の認定ビルダー

 「fff-」はフランス革命後のヨーロッパを舞台に、昨年が生誕250年だった楽聖ベートーベンの半生を描く。ベートーベン(望海)はナポレオン(彩風咲奈)や文豪ゲーテ(彩凪翔)ら、同時代の偉人から影響を受けつつ、自身の才能を開花させる。その一方、幼少期の記憶にさいなまれ、恋人との別れ、徐々に進む失聴といった試練も降りかかる。そこに謎の女(真彩)が現れ、彼の心の内を読み、ささやきかける。
 民衆のための音楽をと願うベートーベンは、自由と平等のために闘っていると見えたナポレオンに期待するが、失望させられ、苦悩は深まる。その中から交響曲3番「英雄」、5番「運命」が生まれ、生の喜びを高らかに歌い上げる「第9交響曲」へと続く。苦難の幕開けとなった2021年だが、それでも前に進もうという力強いメッセージと人間賛歌と受け取れた。
 小学生の時に宝塚歌劇を見て運命を感じ、夢をかなえた望海は入団18年、雪組トップ就任から3年半。この間の万感の思いをベートーベンに重ねた。
 後半のレビュー「シルクロード-」は伝説のブルーダイヤを求め、時空を超えて旅する盗賊の不思議な物語。さまざまな民族が行き交う交易路を舞台にエキゾチックな歌やダンスで見せる。東日本大震災復興支援曲「花は咲く」の作曲で知られる菅野よう子が舞台音楽に初挑戦。独創的な楽曲を、望海・真彩トップコンビが中心となって、雪組出演者が見事に歌い上げていた。真彩がラップを披露するなど意外性もあり、飽きさせない。望海が次期トップの彩風へ、バトンのように1輪の青いバラを手渡す場面も。次代も期待できそう。アラビアン・ナイトの世界を思わせる豪華できらびやかな衣装、舞台装置も新春にふさわしい。
 2月8日まで。2月26日~4月11日、東京宝塚劇場で公演する。(片岡達美)

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