石橋豊消防長から感謝状を受け取る宝塚大劇場の小澤正道さん(中央)と野村洋一郎さん(左)=宝塚市消防本部
石橋豊消防長から感謝状を受け取る宝塚大劇場の小澤正道さん(中央)と野村洋一郎さん(左)=宝塚市消防本部

 兵庫県の宝塚市消防本部は22日、宝塚大劇場(同市栄町)で心肺停止状態になった女性(61)=神戸市=に対し、的確な救命処置を行ったとして、同劇場に感謝状を贈った。心臓マッサージをし、自動体外式除細動器(AED)を使って救助をしたチケットセンター主任の小澤正道さん(48)は「生きてほしいと無我夢中だった」と話した。

 同本部などによると、10月12日午後3時40分ごろ、観劇中の女性が突然、意識を失った。客席案内係の武田綾さん(37)が119番する一方、小澤さんらが女性を抱きかかえて客席の外に出し、同係の中村亜弓さん(27)と心臓マッサージなどをしたという。

 AEDを使用後、「眉が動いた」と小澤さん。救急隊が心拍が動いたのを確認し、ドクターカーで駆け付けた医師と共に病院に搬送した。女性は社会復帰できるまでに回復したという。

 小澤さんら3人はいずれも過去に救命講習を受け、「もしもの時どう動くか、イメージトレーニングをしていた」という。宝塚総支配人の野村洋一郎さん(55)は「今回の経験を皆で共有し、さらに安心して見てもらえる劇場を目指したい」と話した。

 同本部によると、今年1~11月で心肺停止による搬送は182件。搬送前と変わらない生活が送れるまで回復したのは5人で、市民による救命処置が功を奏したという。(中島摩子)