ワクチン接種準備で自治体困惑 「医師、看護師何人必要か…」供給量や時期見通せず
2021/01/30 05:30
神戸新聞NEXT
新型コロナウイルスのワクチン接種のスケジュールが徐々に見えてきた。医療従事者に続き、早ければ4月から65歳以上の高齢者の接種が始まる予定で、兵庫県内の自治体では専門の部署やチームが相次ぎ発足。会場選びなど準備が進むが、医師や看護師の人員確保が最大の課題となる。コロナ治療で人手が足りない上、ワクチン供給の量や時期が不透明で、「いつ何人必要なのか」が定まらないためだ。自治体からは「国の想定通りにできるのか」と困惑の声が漏れる。(前川茂之)
関連ニュース
神戸市で過去最多1895人感染 1週間で1・5倍 新型コロナ
【速報】兵庫の感染者、約4900人 過去最多更新の見通し 新型コロナ
兵庫の感染者、月間5万人超 第5波ピークの2倍以上に 新型コロナ
政府が想定するワクチン接種の順番は、(1)一部の医療従事者(2)全国の医療従事者(3)65歳以上の高齢者(4)基礎疾患のある人ら(5)その他の一般の人。医療従事者は都道府県が実施し、それ以外は各市町が主体となる。
政府は時期は示していないが、一般の人の接種を早く始めたい考え。その前段階となる65歳以上については「4月1日以降」とし、約3カ月で完了させる方針を打ち出している。接種は1人計2回。該当する高齢者が約43万人いる神戸市なら、1週間で約9万回の接種を行う計算になる。
同市は接種場所として医療機関のほか、公共施設や大型ショッピングセンターなどの活用を想定する。「(近く承認が見込まれる)米ファイザー製ワクチンは保存期限が限られる」と市ワクチン接種対策室の担当者。「小さな会場を増やせば、(ワクチンの)ロスが増える」とし、市内9区に最低でも各1カ所、集団接種会場を設ける方針だ。たつの市も市内5カ所での集団接種を予定し、既に5月ごろまで公共施設を押さえたという。
一方、姫路市は「普段からなじみのある医師に診てもらうのが一番安心。密になれば感染リスクも増える」として集団接種は極力避ける方向で検討を進める。
ただ、神戸市の担当者は「会場の確保は正直、どうとでもなる。医療従事者の確保状況次第で、会場の数や規模、スケジュールも変わってくる」と話し、実際にワクチンを打つ医師や看護師の人員確保に頭を悩ませる。県ワクチン対策課の担当者も「医療現場にはコロナ治療を継続しながら、接種もお願いする。難しい依頼ということは百も承知している」とし、頭を下げながら各病院を回る。
これに対し、医療従事者との調整を担う県医師会の足立光平副会長は「ワクチンがどれほど来るかによって態勢も変わる。従事者の確保以前に、まずはそこを詰める必要があるのでは」と指摘。国はワクチン配布の明確な時期や供給量を示しておらず、県内のある自治体の担当者は「分からないことだらけで、国が描く通りには到底進みそうにない」と頭を抱える。
【特集】目で見る兵庫県内の感染状況