「島守」の信念を演劇に 沖縄戦で住民守った島田叡氏描く 27日からネット配信
2021/02/19 14:00
舞台「島守のうた~あした天気にしておくれ」の一場面(実行委提供)
太平洋戦争末期の沖縄県で知事を務め、激戦の中で消息を絶った島田叡(あきら)氏=神戸市須磨区出身=の人物像を描く舞台「島守のうた~あした天気にしておくれ」の動画が、27日からインターネット配信(有料)される。沖縄の関係者でつくる「島守のうた実行委員会」の主催。実行委は「若い人に、平和を願った島田さんの思いを伝えたい」と話している。(津谷治英)
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島田氏は1901年生まれ。旧制神戸二中(現兵庫高校)、東京帝国大(現東京大)を卒業。旧内務省に入り45年1月、官選知事として沖縄に赴任し、疎開や食糧調達に取り組んだ。地上戦が始まり、敗勢がほぼ決する中、43歳で消息を絶った。その足跡をしのび、沖縄では今も「島守」と慕われている。
物語は沖縄戦を経験した高齢女性の語りで始まり、戦中へ展開。島田氏と部下の荒井退造警察部長は力を合わせて住民の生命保護に力を尽くす。だが米軍上陸後、「鉄の暴風」と呼ばれる砲爆撃、激しい地上戦が住民をのみこんでいく。主人公の2人をはじめ県職員、住民らを地元の俳優らが演じた。
実行委は3年前に那覇で舞台を初演、その後も好評を集めた。平和への思いを全国に届けようと、戦後75年の昨年、沖縄や荒井氏の故郷・栃木での再演を企画。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で中止になった。そこでネット配信を考案、昨年末に撮影した。
総合プロデューサーの西平博人さん(46)は「戦争体験はコロナ禍の苦境に通じる。非日常の生活の中、戦争の異常性を伝え、平和の尊さを考えてほしい」と話す。
配信は3月6日まで。視聴チケットは1500円など。島守のうた実行委員会の公式サイトから購入できる。実行委は来年にも、兵庫県での公演を予定している。