留学生ら「通訳の仕事、諦めた」 コロナで求人減、迫るビザ期限
2021/04/01 11:20
通訳の仕事を諦めて神戸新卒応援ハローワークで事務の仕事を探す留学生=神戸市中央区東川崎町1
新型コロナウイルス感染症の影響で、兵庫県内の大学や専門学校を今春卒業した留学生らが苦境に立たされている。多くが日本での就職を目指しつつ、訪日外国人の激減で通訳などの強みを生かせる求人がなくなったため、仕事を得られないままビザの期限が迫る。一方で、1年前に入学した留学生の多くが来日できずオンライン授業を余儀なくされており、新年度の受け入れが減った大学もある。支援はなかなか追い付かず、状況改善に向けた道筋は見えない。(小谷千穂)
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「日本語通訳の仕事を諦め、一般事務を探している」。ベトナム出身で、神戸市内の専門学校を今春卒業の男性(25)はため息をついた。
「内定が決まって研修もしていた」と言いつつ新品の名刺を示した。「技能実習生サポーター」の肩書。「もう、これは使えません」。入国が制限される中、3月中旬、技能実習生受け入れ事業をする姫路市の企業に「コロナで仕事が減った」と内定を取り消され、再び就職活動を始めた。
5月にビザが切れるが、ベトナムへの飛行機は止まっていて帰れない。事務職を狙うが、日本人と同じ枠のため「言葉の壁が難しい」と嘆く。「日本で就職していずれは通訳がしたい。日本政府は支援してくれないのか」と声を落とした。
兵庫労働局の担当者は「特に文系留学生は行き場がない。観光、宿泊、販売業のインバウンド需要がなくなり、日本の企業は日本人を雇うので精いっぱい」と現状を説明する。
困っているのは卒業生に限らない。昨年度に入学した多くの留学生がオンライン授業を受け続けている。
神戸大学では、来日したのは約200人のうち半数の100人ほど。関西学院大でも、全体の3割の約80人がまだ母国にいる。
神戸市外国語大は新年度、交換留学生7人の受け入れを予定するが、まだ入国のめどは立っていない。
関学大の担当者は「頑張って勉強していた人も飛行機の運休や経済的打撃、家族と離れる不安などで諦めざるを得なかったのでは」と推測した。