店で乾杯「やっぱりいいなあ」 2カ月ぶり酒解禁 神戸・三宮は予想超える人出
2021/06/22 05:30
「まん延防止等重点措置」初日の夜。神戸・三宮の繁華街では食事を楽しむ人たちも多かった=21日午後、神戸市中央区(撮影・秋山亮太)
兵庫県で21日、「まん延防止等重点措置」が始まった。その夜。条件付きで約2カ月ぶりに酒の提供が解禁され、神戸・三宮の繁華街でも長らく休業していた飲食店が飲み客を迎えた。さまざまな思いが交錯するネオン街を歩いた。
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キンキン。ゴロゴロ。まだ空が明るい午後4時半。駅北側の路地を、前掛け姿の酒屋がせわしなく行き交った。台車と酒瓶がぶつかる音が響く。
「5時までには届けてって注文が多くて」「うちもや。お互い大変やな」。汗をぬぐい、笑顔でねぎらい合う。
緊急事態宣言は解除されたものの、酒類の提供は午後7時まで。客の動きは早い。電飾看板が連なるサンキタ通りは、月曜なのに予想以上の人出だ。今回の宣言発令直後にグランドオープンした阪急神戸三宮駅直結の商業施設「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」のカフェは、全85席の7割が埋まっていた。仕事帰り、先輩と白ワインで乾杯した女性(24)は「家飲みやオンライン飲みとは違う。おいしい料理とお酒。やっぱりいいなあ」。
北野坂や東門街周辺でも、立ち飲み屋や焼き鳥屋に人が集まった。だが、約2カ月ぶりに営業したバーをのぞくと、「今日は全然」。オーナーの吉田慎哉さん(49)が首を振る。
売り上げはコロナ前の3割ほどに落ちた。時短に加え、兵庫県は独自に土日祝日の酒提供を禁止する。苦境はまだ続く。
午後8時すぎ。ほんのり赤ら顔のサラリーマンらが帰路に就く。「これじゃ宣言中と同じ」。深夜が勝負のスナックでママ(36)がこぼす。
今年に入って営業できたのは数日。「悪いことしてるわけじゃないのに、うしろめたい。そもそも、お客さん、来るかな…」
カランカラン。開いた扉に、「久しぶりー!」
感染対策か、経済活動か。矛盾を笑顔で包み込むようにママの声が響いた。(井上太郎)
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