放置。泣きまくるしかなかった。「入院中、刑務所みたいやった」と重度障害者 〈嗚呼、コロナ〉
2021/09/14 19:50
普段の生活で意思を文字盤で伝える=西宮市内
私、口では話されへん。
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でも、相手の話していることは分かるよ。みんなと一緒。ゆっくりしゃべらんくても理解できてる。
ただ、かなや漢字は小学2年生レベルやねん。
「あ」から「ん」まで一覧表になってる「文字盤」を指でさして、その単語から伝えたいことを連想してもらって、会話をしてる。
手を1回たたいたら「はい」、2回だったら「いいえ」って伝える方法もある。表情で喜怒哀楽も分かってもらえるし。
さて、伝えたいのはここから。私、4月に腸閉塞で入院してん。
車いすに乗ってて、24時間介助者が必要やけど、8年前から1人暮らしをしてんねん。介助者が生活をサポートしてくれるのが私の日常。
最初の入院は2週間ほど。今までも入院したことはあるけど、介助者がいてくれたから、困ることはあんまりなかった。
だけど今回は、コロナのせいで介助者が病院に入れんくなってん。
入院中ずっと一人。家に帰りたくて帰りたくて、ずっと泣いてた。
やっと退院できたと思ったら、また入院。5月の半ばから7月の終わりぐらいまで約2カ月半。ほんまにほんまに長かった。
その間、私の世話をしてくれたのが看護師さん。でも介助をしてくれるわけじゃないから、伝わらないことがいっぱいで。看護師さんは忙しいから、文字盤でゆっくり会話をする時間もないし。
体が自由に動かないから、長時間ベットにいたら、激痛走るねん。
頭、背中、お尻、足、それぞれ痛くない場所にずらしてほしいけれど、それも伝えられん。もちろん、呼び出しボタンも自分で押せないし。
顔は右向きが楽やけど、緊張が入ると左に向いてしまう。普段やったら、介助者がクイッと直してくれるけど、病院は看護師さんがずっといてくれるわけではないから、4時間ぐらい、体位が変わらないこともしょっちゅう。ずっと全身痛いまんま。
あごもよく外れるけど、放置。看護師さん「こおへんわ」って、もう諦めてた。きつい。それが毎日。
「こんなに通じひんのや」って。泣きまくるしかなかった。
入院中、刑務所みたいやった。
(丸山桃奈)
【プロフィール】女性。ビールと餃子が大好物。介助者の恋愛相談にのるのが得意。