「ラスボス的な悪役は宝塚で一番得意かも」愛月ひかる、今公演で星組退団

2021/10/15 16:30

ファンとの触れ合いが制限される中、今公演では「舞台から感謝の気持ちを伝える場面が多い」と語る愛月ひかる=宝塚大劇場

 星組の愛月ひかるが現在上演中の「柳生忍法帖」「モアー・ダンディズム!」を最後に12月、退団する。品格を何よりも大切に、さまざまな役を演じてきて、「この2作品がラストでよかった」と万感の思いで舞台に立つ。 関連ニュース スピーディーで迫力の剣劇「柳生忍法帖」初の舞台化 宝塚星組公演が開幕 「少女たちの夢を叶えたい」宝塚OG・仙堂花歩さん率いる「すみれ少女歌劇団」オーディションを開催 宝塚歌劇の轟悠、最後の舞台「婆娑羅の玄孫」開幕 オリジナル脚本、人情味あふれる好演

 2007年初舞台の93期生。同年、宙組に配属。16年「エリザベート」のルキーニ役、今年の「ロミオとジュリエット」では踊りだけで表現する「死」の役など、個性の強いキャラクターで存在感を示してきた。
 19年2月に専科へ。同11月星組に組替えとなったころ、退団を決意した。
 「柳生-」では、滅びてしまった一族を復活させようと暗躍する芦名銅伯役。「“ラスボス”的な役は今の宝塚で一番得意かも」と、立ち位置を自覚。妖艶な怖さの宝塚らしいヒール(悪役)を楽しんで演じているようだ。
 「白が似合う男役でいたい」という願いがレビューでの白の軍服姿でかなった。「男役の原点のよう。特に難しい振りがあるわけではない。だからこそ、指先にまで神経を行き届かせ、宝塚の男役像をしっかり見せたい」と決意は固い。
 度重なる組替えなど、決して平たんな道のりではなかったが、「品格を大切にしたいという思いはみじんもぶれなかった。下級生にもそのことが伝われば」と言い、最後まで自身の目標を追い続ける。(片岡達美)

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