衆院選 維新躍進で兵庫の勢力図一変 吉村氏「首長誕生させる」

2021/11/02 05:30

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 10月31日に投開票された衆院選で、兵庫県内の政党勢力図が一変した。日本維新の会は、比例復活を含め擁立した9人全員が当選。兵庫への浸透ぶりが際立った。一方、自民党は小選挙区で2議席を落としたが、いずれも比例復活し辛うじて10議席を確保。維新と拮抗(きっこう)した。立憲民主党も2議席を獲得し、県内の衆院議員は史上最多の23人に上った。 関連ニュース 投票用紙に「〇」印方式なぜ広がらない? 維新、吉村氏人気追い風に続々復活 兵庫で擁立の9人全員当選 維新議員の不祥事、続いていませんか? 松井代表「厳しく処分している」

 「維新の改革が兵庫で少しずつ浸透している。小選挙区で1議席を取れた意義は大きい」。投開票から一夜明けた11月1日。日本維新の会の吉村洋文副代表は、兵庫での躍進を喜んだ。
 維新は選挙前、県内に衆院議席が1議席もなかったが、一気に9議席を獲得。7月の県知事選で、自民と相乗りで推薦した斎藤元彦知事との連携について、吉村副代表は「これで(維新を)軽くは見られなくなる」と期待感を示した。
 ただ当選者の多くを新人が占める。全小選挙区を制覇した大阪の勢いが当選を後押しし、吉村副代表は「自分が偉くなったと勘違いしないで」とくぎを刺した。
 今後は首長誕生を目指す方針で、吉村副代表は「市町で地方議員を誕生させ足腰を強めて、首長を誕生させる。強い自民と戦える唯一の方法だ」と述べた。
 比例復活で7年ぶりの国政復帰を果たした三木圭恵氏(55)は、「第三極」としての立ち位置を強調。前回、小選挙区で大敗した自民候補に1530票差まで迫った。三木氏は「自民1強の政治に一石を投じる役割を期待されている」と語り、政権批判票の受け皿になったとした。
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 党への逆風、維新への追い風に翻弄(ほんろう)された自民。「責任政党として、結果を出していきます」。1日朝、兵庫1区で落選し、比例復活を果たした盛山正仁氏(67)は神戸市灘区のJR六甲道駅前に立ち、通勤客らに当選を報告した。
 立憲民主党の元職に破れた盛山氏。比例復活を確実にした1日未明には「コロナ対応や経済対策に対し、有権者が与党に不満を持っている」と声を落とした。1区では維新新人も復活当選し、「有権者が『身を切る改革』にひかれたのだろう。来夏の参院選でも伸ばしてくる可能性がある」と危機感を口にした。
 県内では今回、小選挙区と比例代表で計23人が当選。小選挙区比例代表並立制では2000年と03年、12年の17人が最多だったが、大幅に更新した。自民が10人で維新は9人。立民(2人)、公明(2人)を大きく引き離した。
 県内の比例代表では維新が約78万票でトップ。自民の得票を11万票以上上回った。自民のベテラン県議は「大阪での人気は絶大だが、兵庫でもここまでとは。今後の選挙課題は大きい。首長も狙われる」と警戒を強める。(衆院選取材班)

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